映画:アンストッパブル



 暴走した列車を止める映画ってこれまでも何度も映画化されたのに、なぜいま??アンストッパブルでした。



●ストーリー(ネタバレあり)
 子どもと、その子を学校に送り出す女性・ダーシー(ジェシー・シュラム)を遠くから眺める男がいた。彼の名はウィル・コルソン(クリス・パイン)。彼は妻である彼女と息子・ジェシー(ジェフ・ウィンコット)への接近禁止命令を出されていたのだ。子どもを車に乗せたのを確認したウィルは妻に電話をするが、妻は着信が夫であることを知ると電話に出るのをやめた。ウィルはこの数ヶ月何度も電話をするが、妻は一回も出ないでいた。
 ウィルは今日からペンシルバニア州ブリュースターにあるミンゴ操車場に勤務する、入社4ヶ月の車掌だ。彼は鉄道一家の出身であり、周りからは優遇されていると思われていた。そんなウィルと組むことになったのは28年のベテラン運転士・フランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)。フランクと彼の仲間は「いつからここは託児所になったんだ。」と皮肉を言う。一方ウィルは「老人ホームの間違えじゃ?」と反撃に出る。
 今日の2人の仕事は、機関車1206号に乗り、工場に寄って荷物を積んだ貨車を連結、その後目的地へと向かうことだった。そんな時、ウィルに電話がかかってくる。急遽、妻との調停が行われることになったのだ。もし本人がその場に現れないと調停は延期され、息子や妻を抱きしめるのも延期される。ウィルは仕事に集中できず、機関車を方向転換するためのターンテーブルの操作を誤ったり、あろう事か連結する貨車の本数を間違えるミスを続出させる。私生活のトラブルもあり、失敗の度に叱るフランクに逆ギレしてしまう。
 貨車の本数を間違えていることに気がついた時にはもう工場から1マイル(1.6km)たった後だった。20両以上の貨車を引いていてはバックすることも出来ないし、そんな時間もない。フランクはこのまま走行する決断をする。

 その頃、ウィルらの反対側に位置する同州ウィルキンスのフラー操車場では、社会科見学で大勢の小学生を乗せた列車が操車場を通るため、邪魔となる貨物列車777号を移動させる運行がなされることに。出発前点検で空気ブレーキのホースがはずれていることが発覚したが場所をちょっと移動させるだけと、運転士のデューイ(イーサン・サプリー)はそのまま機関車を動かすことに。ところがつながれている貨車は39両、全長にして800mもあるのだ。止めようとしても通常ブレーキだけでは足りず、しかも前方の切り替えポイントが間違っていたため線路脇のポイントを切り替えるため機関士は一度降りてしまう。ところが“制動”に入れていたレバーが振動で“力行”に入ってしまい、機関士を置いて走り去ってしまう。

 その報告を聞いたフラーの列車司令室の操車場長コニー(ロザリオ・ドーソン)は、レバーが制動に入っていればそのうち止まるが、念のため溶接工のネッド・オールダム(リュー・テンプル)に電話をし、彼のいる近くのポイント切り替え機を操作して、777号を側線へと導くように依頼する。
 ポイントにたどり着いたネッドだが、777号が来る気配はない。不審に思いながらも列車を待つネッドの元にやって来たのは、777号を追ってやって来たデューイたちだった。777号は思っていたよりも速い速度で走行していることを知ったネッドはコニーに報告する。コニーは777号のレバーが制動ではなく力行に入っていると判断、777号の前方を走る社会科見学の列車に連絡をする。このまま行けば正面衝突し、小学生達は全員死んでしまう。緊張が走る司令室。社会科見学の列車の機関士は速度を上げ、すんでの所で側線に入ることで大惨事をかわすことが出来、司令室は安堵のため息と歓声が沸き上がる。
 しかし777号の荷物を調べて、その雰囲気は一変する。と言うのは貨車には溶融フェノールという、引火性の高く毒性も高い化学物質を載せているのだ。もし脱線すれば・・・。777号は暴走するミサイルと一緒なのだ。

 コニーは郊外で列車を脱線させる計画を上層部に伝え、州警察にすべての踏切の閉鎖を要請する。しかし上層部は列車を脱線させれば、線路や機関車の代金、さらには毒物の汚染除去など被害額が大きすぎるとその計画を却下し、別の機関車を使って777号の速度を落とし、その隙にヘリコプターで機関士を777号に乗り移らせて止める計画を実行しようとする。
 一方、このことは1206号のフランクとウィルにも伝えられた。司令室は念のため1206号に、側線に入るように指示するが、予定外に貨車をつないでしまった1206号は側線に入りきらない。フランクはもう1つ先の長い側線に入ることにすると司令室に伝える。

 上層部の計画の準備が行われている間、州警察の閉鎖を破って踏切に入ってしまった車と777号が衝突する。幸い怪我人は出なかったものの、マスコミもこの暴走事故がばれてしまった。
 上層部の計画が実行に移される。マスコミのヘリに見守られながら実行されたこの計画だが、ヘリに吊された機関士は、急に速度を落とした機関車にぶつかり重傷を負う。計画は失敗したのだ。777号の前で速度を落とそうとしていた機関車は側線に逃げることにするが、後ろから777号に押されて減速できず脱線。その機関車を運転していたフランクの友人であるジャド(デヴィッド・ウォーショフスキー)は死亡してしまう。
 計画が失敗したことを知った上層部は、コニーの言う通り列車を脱線させるため、脱線機を準備する。

 司令室の通信士・バニー(ケヴィン・チャップマン)からの報告で友人の死を知ったフランク。そしてフランクは大型の機関車は脱線機では脱線させられない。突破してしまうと言う。側線に入ったフランクはつなげていた貨車をはずし、777号を止めに行く。ウィルは自殺行為と言うが、若造の言うことなどに耳を貸さないフランク。もし777号が暴走を続ければ、スタントンにある急カーブで脱線する。しかもそこには工場の燃料貯蔵タンクもあり、そこに溶融フェノールが加われば街ごと破壊しかねない。そうなれば、わだかまりのある娘らの命も危険にさらされることを知っていたのだ。当然、ウィルの妻や子どもも危ない。愛する家族のため、ウィルもフランクと一緒に暴走列車を止めるために再び1206号に乗り込む。
 フランクとウィルの計画を知った上層部は、勝手なことをすればクビだと言い渡すが、フランクはすでに解雇通知を受け取っていたのだ。ベテランを解雇し、若い人を雇うことで給料の原資をさげる経営方針を打ち出していたからだ。
 もしかしたら、死ぬかも知れない。2人は家族に電話する。妻を失い2人の娘を養うために仕事に打ち込んだフランクは、自分たちよりも仕事を優先させたことで2人の娘とわだかまりが出来てしまっていた。フランクは娘に「愛している。」とだけ伝えて電話を切る。ウィルはどうせ妻は電話に出ないと、接近禁止命令が出たいきさつを語る。ウィルは妻の浮気相手のところに銃を持って脅迫をする。しかしそれは思い込みで浮気などはいっさいなかったのだ。

 そうこうしているうちに777号は上層部が設置した脱線機を通過する。フランクの言う通り失敗したのだ。警察が燃料放出バルブを射撃して燃料を捨てる計画を実行するがこれも失敗。遺された希望は2人しかいない。
 なんとか魔の急カーブの前に777号が引く貨車の最後部に連結に成功する。しかしロックがかからず、ウィルが足でロックをかけようとするが、その時列車から落ちそうになり足を負傷する。その様子はすべてテレビで中継されていた。バイト先でその様子をみたフランクの娘たちは驚き、テレビに釘付けになる。もう2人テレビに釘付けになっている人がいた。ウィルの妻と息子だ。ダーシーはこの事故のことを知らなかったが、知人(親戚?)に避難のことを聞きテレビをつけて知ったのだ。

 フランクが発電ブレーキをかけるが、旧式の1206号と、39両もの貨車を引っ張る最新の機関車ではパワーの差が歴然。速度は落ちるが止めることは出来ない。そこでフランクは777号が引く貨車に飛び移り、1両ずつ手動ブレーキをかけていく。減速した暴走列車が魔のカーブにさしかかる。何本かの容器が落下するが引火せずにすんだ。しかし1206号のブレーキは焼き切れ、再び速度を上げていく。
 フランクはそのまま機関車へと向かうが、途中飛び移れない車両があり機関車へは行けない。
 そこに現れたのはネッドだ。ウィルはケガした足をテープで縛って止血し、ネッドの車に飛び移る。そのまま加速したネッドは機関車に追いつく。再びウィルは機関車に飛び乗る。落ちそうになりながらも飛び移ることに成功したウィルは、無事に機関車を止めることに成功する。

 事故も収まり、記者会見が行われた。そこには2フランクの娘と、ウィルの妻・息子の姿もあった。
 その後、フランクとダーシーの間には二子が誕生。フランクの解雇は取り消され、コニーは運行部長に昇進、コニーの作戦を一蹴しておきながら彼女に無断で実行したり、ヘリコプターの作戦で死傷者まで出した上層部のガルビン運行部長(ケヴィン・ダン)は解雇、この事故を引き起こした張本人のデューイは解雇された後、食品会社に転職した。



●感想、思ったこと(ネタバレあり)
 冒頭にも書きましたが、暴走した列車を止める映画と言うことで、アトミック・トレインを思い出しました。ブレーキが壊れた列車には化学薬品だけでなく核弾頭が乗っかっている。止めなければ終着駅のデンバーで爆発するという設定。もう何年も前に見たので詳しいことは覚えていないのですが、結局、爆発したという、予想外の展開(しかもつまらない方に)。その落胆ぶりがフラッシュバックされました。
 しかもトニー・スコットデンゼル・ワシントンの列車映画と言えば、1年半前に見たサブウェイ123 激突が、これまたおもしろくなかった。
 なので、この映画もスルーしようとしていたのですが、Twitterでは、試写会で観た人が、意外におもしろい!興奮したとの書込が多数。それならばと見に行くことにしました。ストーリー的に目新しいことはなく、特に家族が分裂状態で、この事故をきっかけに復縁するなんてのはハリウッド(と言うか映画)お決まりパターンで、もう臭い臭い。
 でも、そんな目新しいことがないのに、見せ方と効果音の使い方がうまい!マジで興奮しました。
 ちなみに、サブウェイ123 激突の失敗は20世紀フォックスも気にしており、制作費を1億ドルから1割削減、トニー・スコット監督の監督量を900万ドル→600万ドル、デンゼル・ワシントンの出演料を2000万ドル→1600万ドルに削減しようとしたらしい。それにデンゼル・ワシントンが反発し、プロジェクトを離脱したが、話し合いで20世紀フォックスが折れて制作が再会したらしいです。っていうか、映画の出演料ってどんだけだよ!俺だったらその0.1%でも二つ返事で引き受けちゃう。

 ちなみに2001年にオハイオ州で起こった「CSX8888号暴走事故」が元になっていると言うことで、どこまでが実際にあったのかWikipediaで調べてみました。エアブレーキが効かない状態でポイントを切り替えるために降りたのも事実。途中で飛び乗ろうとしたがあまりの速さで飛び移れず、別の機関車で引っ張って止めたとか。警察が燃料放出バルブを射撃して燃料を捨てようとした話もホントだったそうです。死者は出なかったらしい。
 本作には出てこなかったエピソードとして、一定時間操作がなかった場合には自動で緊急停止するデッドマン装置というのがあったが、エアーブレーキがONになっていた(実際にはホースが抜けていたためブレーキとしては動作していなかった。)ためその装置も効かなかったとか。
 ちなみに家族のわだかまりが本当にあったかはWikipediaには記載がなかったのでわかりませんが。

 ところで、細かいことですが、“発電ブレーキ”って“回生ブレーキ”の誤訳じゃない?と思っていたのですが、ディーゼル機関車では回生ブレーキではなく、効果の大きい発電ブレーキなんですね。回生ブレーキとはモーターへの電力をカットし、惰性で回るモーターを発電機として利用し、発電させた電力を次にモーターを動かす時の電力として使うもの。発電ブレーキは発電させるところまでは同じだが、発電した電力は抵抗器に通して熱にして捨ててしまうらしい。回生ブレーキではバッテリーに電力を供給させるために最大電力が決められているけど、熱として捨ててしまう発電ブレーキでは抵抗量を増やすことでブレーキの効き量を大きくすることが出来るため、省エネではないけど大型の貨物列車などではこちらが一般的なんですって。へぇ~、知らなかった。




観て良かった度:●●●●○ 4点 最低1点、最高5点






※2010/11/01よりAmazonが配送する商品の配送料が無料になりました。



"映画:アンストッパブル" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント