【よしなしごと】原野商法の無価値の土地を処分できた。



【概要】
 親が原野商法の土地を購入し、それを知らないまま相続してしまった。利用価値もない、売るに売れない土地の処分に困っていました。僕が死んだら子ども達にも迷惑がかかる。もちろん固定資産税や管理費というものが毎年かかって、行ったこともない土地に毎年お金がかかる。
 原野商法というほぼ詐欺に近いものに引っかかったという名簿(いわゆる”カモリスト”に載ってしまっているので、新たなる詐欺の連絡も来る。
 そんな中、だいぶ費用はかかったですが土地を処分できたのでブログにしてみました。

【目次】




原野商法とは


 Wikipediaによると、
原野などの価値の無い土地を騙して売りつける悪徳商法のことをいう。1960年代から1980年代が全盛期であり、新聞の折り込み広告や雑誌の広告などを使った勧誘が盛んに行われていた。

 とあります。
 今は何もないので安い土地ですが、近くに駅や高速道路ができるので資産価値があがりますよ。とか別荘地・リゾート地として開拓したばかりなのでまだ安いですが、今後どんどん値段が上がるので今が買い時ですよ。なんてセールストークで、利用価値のない土地を売る商法です。もちろん虚偽の情報であれば詐欺であり違法です。しかし安い投資で区画整備してあれば別荘地や居宅地として整備してあれば違法ではなくなります。
 また駅や高速道路ができるという情報は一般人が知るよりも当然ながらプロの人たちの方が早く知っているので、私たち素人が知る頃にはもう値段は上がっており、これから上がるなんてそんないい話が来るわけがありません。

 ちなみに最近でもそういう詐欺があるようで、中国人など外国人が水源を買い占めているので日本を守る必要がある、外国人のためのリゾート開発で大もうけできるなどの詐欺があるようです。
 さらにはそういう騙されやすいという”カモリスト”に載っているので、「その土地を買いますよ。でも区画整備に何百万必要です」というような二次詐欺の被害も問題になっています。




栃木県の事例


【栃木県の事例】

栃木件矢板市

 この土地、GoogleMapで見ると、きちんと区画整備された居住地もしくは別荘地に見えます。ところが写真で見ると

栃木件矢板市

 ほぼ草。1件だけ建物が建っているのがわかります。

矢板ホープヒルズ

 ストリートビューで見てみると。この区画の入口にはバス停もあって、「矢板ホープヒルズ」と看板もたっており、やはり居住地もしくは別荘地としてきちんと整備されているような感じに見えます。

矢板ホープヒルズ

 もう少し進むとこんな看板が。「ログハウスで新しい人生を。希望ヶ丘、好評分譲中」とあります。「新しい人生」ということで、高齢者をねらった分譲地であることがわかります。写真は割愛しますが、反対を見ると「全管連グループのまちづくり理念」という看板があります。「全管連」とは「全国管工事業協同組合連合会」の略にもなっているので検索をかけると、当然ながら真っ当なホームページばかりが表示されますが、検索の予測を見ると「全管連 被害者の会」「全管連 倒産」「全管連 分譲地」と言ったワードが出てきます。

【全管連】
 事実を全て知っているわけではないので、私が親から聞いた内容、倒産時に裁判所から送られてきた内容を記載します。この「全管連」は某土地(この栃木県の土地かあとで紹介する別の土地かは知らないですが)に老人向け施設を作る計画があるが、土地を一括購入できないので、みなさんに購入いただきそれを貸し出すことで毎月の賃借料が入ります。と言うことで親に話を持ちかけたようです。最初は賃借料が入ってきましたが、数年で倒産。数百万で買った土地に数万円の賃借料しか戻ってきませんでした。そんな会社です。現在は「ハートランド」「KRG」と言った会社が業務を引き継いでいますが、負債は精算されているので、賃借料は当然入ってきていません。

矢板ホープヒルズ

 そしてストリートビューはここまで。これ以上の中には入れませんでした。実際はここの先を行ったところです。見たところ電気も水道も下水もなさそうです。ガスはプロパンガスとしてもこんなところに家を建てられるのか?ちなみにここに到達する道路も、舗装はされていますが草が生えています。とても「希望」があるようには思えないと千枝でした。

【二次詐欺】
 この土地、福島第一原発から直線距離で約100km。ご存じの通り2011年の地震・津波の影響で原発事故が起こり、放射線による影響がみんな不安だった2011年、2012年。「KRG」から手紙が届きました。概略は、「あなたの持っているこの土地は放射線により汚染されています。そのため現在居住できる状況にありませんが、当社が購入することも可能です。」と。国が発表している放射線レベルの資料も同封されていましたが、手紙本文には国が発表しているレベルの100倍のレベルが書かれていました。詐欺なのか、担当者が「x E-2」つまり「0.01倍」という意味がわからなかったのかは不明です。(何度も問い合わせをしたけれど、電話窓口の女性は担当者につないですらくれなかった)真相はわかりませんが、担当者とも会話できず、国が発表している情報の100倍の値を連絡する会社は、普通に考えて詐欺ですよね。
 ちなみにこの「KRG」も検索すると、予測ワードには「KRG 詐欺」等が出たりする会社です。

【結局】
 この土地、100m2ですが、固定資産税がかからないくら価値のない土地。管理費もかかっていないので当然ながら管理すらされていない状態。それなのに上記の通り詐欺連絡だけがくる。年間の費用はかかっていないですが、それでも引っ越すたびに登記の変更をしなければならず費用はかかる土地です。
 後ほど紹介する某会社に1万円で引き取ってもらいましたが、整地する費用と登記にかかる費用は自分持ち。約20万円くらいかかりましたが、引き取ってもらって肩の荷が下りました。




群馬県の事例


嬬恋村

 次はキャベツで有名な群馬県嬬恋村。ここもきちんと区画整備された別荘地のように見えます。近くには貸別荘やリゾートホテル、ゴルフ場や軽井沢おもちゃ王国といった観光施設もあります。良いところに見えます。
 ここはまだ軽井沢に新幹線が通っていなかった1995年頃に、軽井沢に新幹線が通るので、そうしたら軽井沢だけでなく北軽井沢や嬬恋の別荘地もどんどん開拓されて高くなりますと言われたと聞いています。当時はバブル景気ははじけましたが、まだ別荘=お金持ちの象徴の時代でした。
 ちなみに管理費はかかっていませんが、固定資産税は年間数千円払っている土地です。

嬬恋村

 土地の目の前はストリートビューもいけなかったので、別荘地の入口のストリートビューはこんな感じ。一応電線は通っており、木々も美しく、こんなところに別荘があったら癒されそうですよね。

嬬恋村

 もう6年も前になりますが、2015年に行ってみました。写真で見ると森の中でいい感じ。こんなところに別荘があったらいいよね~と思うようなところです。
嬬恋村

 ところが周りはこんな感じで、売り物件ばかり。雨戸が外れているのがわかると思いますが、この通り管理されていない物件ばかり。この別荘はまだ良い方で、窓ガラスが割れていたり、ベランダの木が腐って崩壊していたり、まともに使われていると思われる別荘は1件か2件くらいでした。
 この時もそうでしたが、すごい湿気なんです。自分の区画だけ木々を伐採しても、地区として開拓されないと湿気がすごくて家もすぐにダメになっちゃう、管理が大変なところだったんです。
 2015年くらいですと、もう「別荘=金持ちの象徴」ではなく、別荘ブームは終わって、決まった場所にある別荘に行くと言うより、いろんなところに旅行に行くという風潮でした。
 近くの不動産屋さんに売却できないかを相談したのですが、一社目は身分証明書を出せと言われました。と言うのは、直接は言われませんでしたが、この一帯はうちが管理しているから管理費用を取ろうとしたのかなぁという雰囲気でした。二社目はとりあえず50万円で仲介してみましょうと言われました。「さっさと処分したいので1円でもいいんですけど。」と言うと、仲介手数料が売却費用の何パーセントと決まっているので、1円だとうちの儲けがないのでできないと言われました。手続きをして、今も広告を載せてくれていますが、六年間売れませんね。

 当時は貸別荘というのはあまり存在していませんでしたが、最近では貸別荘も増えてきて、このあたりも少し活性化してきたようです。
 そんな感じなので、上記の会社が、この土地は上の矢板よりは活用出来そうだという事で、値段は200m2が数万で、登記費用は相手会社負担で売れました。やはり整地費用は必要と言うことで、差し引き二十数万円のこちら負担で売却です。この土地は固定資産税も払っていたのでこちらも肩の荷が下りました。





静岡県の事例


下多賀

 最後は静岡県伊豆半島の下多賀(網代)。ここが一番やっかいなところ。固定資産税は年間1万円くらい。そして管理費が数万円かかる。行ったこともない土地に年間数万円も払っている土地。

下多賀

 ここは別荘地として区画整備されたところですが、ご覧のように土地は傾斜地。右側のおうちは道路面に駐車場を作って、階段から降りたところの斜面に家を建てているようです。当然ながら平地よりも傾斜地の方が建築費が高くなります。

下多賀

 何より、ここを管理しているのが上述した「全管連・ZKR」で、それを引き継いだ「KRG」「ハートランド」です。管理費の請求が来るのに管理内容や決算報告もない。契約内容に記載されている年次報告もない。こちらも問い合わせをしても担当者につないでくれることすらしない。「折り返し電話します」と言われてから7年くらい電話がありません。あきらかに契約内容に違反しているので契約解除を申し出ると、社長名義で「今後は自治会館、道路、上下水道の使用ができなくなるけれどいいか?」と連絡が来たので、それを受諾したにもかかわらず、それ以降も管理費を要求してくる。弁護士からも連絡が来るが、一連の内容を書面で提出したら、確認してから連絡すると言われて、やはり数年間連絡がない。
 そして上述したように被害者の会が立ち上がるほどの会社である。
 近くの不動産会社に売却を申し出るも「あそこは管理会社が違法まがいな会社ですし、以前1回取引の話があったけれど自分たちの取引ではないと境界確認の立ち会いすら来てくれない。そんな会社なのでうちでは仲介もできない。」と断られました。

【ようやく売買】
 この土地をめぐっては「買い取ってあげますよ」という連絡も何度かもらっています。「全管連」、「KRG」、「ハートランド」全てにおいて全く信用していないので、手紙や電話連絡は全て記録しています。知らない会社からこの土地を買い取りたいと電話があっても、「○○社の△△と申します。」と電話があると「△△さんって、以前、KRGから電話してきた△△さんですか?声も似てますよね。」というと、突然切られたりします。ネットで調べても倒産しても社員は同じで社名を変えて立ち上げるという書き込みもあります。
 一度、被害者の会から依頼を受けて話をしている会社ですという会社があり、実際に会ってみたのですが、おじいちゃん・おばあちゃんが子ども世帯に迷惑をかけたくないから処分したいとい人が大勢来ていました。話を聞くとまずは調査費用として数万円が必要ですと言われ、しかも会話を録音していることがバレたらいきなり怒り口調になって追い返されました。あとで検索するとやはりKRGグループという推測ページが出てきました。

 そんな中、今年の夏に「買い取りたい」という電話が。正直「またかよ?!」という気持ちでした。ARK NEXTという会社なのですが、今までKRGグループは、和歌山、大阪、三重だったのに対して、東京の会社。ネットで検索してもKRGとのつながりも出てこないし、予想キーワードにネガティブな言葉も出てこない。

 とりあえず会ってみます。この土地や管理会社にネガティブな印象を持っているので、御社にも今は詐欺会社ではないかと疑っている状態で会っている旨、今までもこの土地についての会話は全部録音している旨を伝えますが、肯定してくれました。そもそも今までは「買い取ってあげる」というスタンスだったのにこの会社は「買取(もしくは仲介として)取引したい」というスタンスです。
 正直、まだ疑いつつも取引をすすめることにしました。
 手続きのために、司法書士も来ましたが。司法書士と不動産業者がグルだったとすると、印鑑証明や実印なども用意すると、最悪自宅も取られることになります。当然ながら名刺だけで信用するわけにいきません。司法書士の免許と自動車免許も確認させてもらいます。「この辺の土地にネガティブな方がいらっしゃるのは今までの取引で知っていましたが、ここまで徹底されている方は初めてです。」とまで言われました。
 結局1か月ちょっとで登記手続きも終わりました。こちらは仲介ならば相場は百数十万円ですが買取だと数十万。でも整地費用と今まで未払いだった管理費用を差し引きすると数万円とのこと。

 3つの土地の処分に50万円くらいかかってしまいましたが、肩の荷、心の負担がゼロになってよかったです。

 ちなみに矢板の土地なんて買い取って何の用途があるんですか?と聞くと「正直、ないですね。でも税金も管理費もかからず、1万円だったら買い取ってもよいかなぁと思いました。」とのこと。おそらく株式会社である以上、決算報告とかがあるので、取引実績などを1件でも増えるなら1万円の価値があるのかなぁと。もしあの辺一帯を買い取れたら一応整地されているので、将来太陽光発電の場所としてもしくはアウトレットモールなどとしても開拓できるかもしれないですしね。

 自分の家が勝手に登記変更されていないかの確認はまだしていませんが、とりあえず上で書いたように心の負担がなくなったのがよかったです。






※ほぼすべての画像(赤い車が写っている写真、売り物件の写真以外)は、Google Map、Googleストリートビューの画像を利用させていただいているため、Googleに著作権があります。

この記事へのコメント

チン毛ソルジャー
2023年02月18日 10:50
面白かった。特に三件目の話が。
全管連て聞いた事あるなと思ったら
深夜番組マネーの虎に出ていた上野社長の前身会社ノシアスリゾートに辿り着く会社ですね
マネーの虎では説得力のある発言の数々に感銘を受けましたが、急に降板しましたので、
テレビ局側も公然とはできない事情を抱えていたのだろうとは推測できました。
その後は管理が必要なものを生み出しておいて管理費用をせしめようとは、
なかなか図太い神経の会社があるものですね。
真面目に生きているので感心するほどです。

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