ストプレ;夏唄日記



 久しぶりに劇団四季以外のストプレは久しぶり。広島の原子爆弾投下までのお話。

●ストーリー(ネタバレあり)
 14歳で両親を殺した元少年・岡田敬介(城戸裕次)が出所してきた。姉・真夕(大竹一重)は弟のために部屋を用意したが、なぜあなたは、そして私は生かされているのかと問う。
 弟は姉が送ってくれた荷物の中身を確認すると、祖母・野村光子の日記が出てきた。その日記を読む弟が気がつくとそこは昭和20年にタイムトリップしていた。しかしそこにいる人たちには自分は見えていない。
 場所は広島。横浜からやって来た進藤次郎(古宮基成)が妙な少年・友文(古屋義邦)に絡まれている。友文は18歳にもなっているが行動はまるで子どものようだった。彼の主人は樋川夏彦(IZAM)。夏彦らは専科の激しくなった東京や横浜から疎開しに広島まで来たのだ。そんな彼らを出迎えたのは野村光子(石川梨華)、敬介の祖母だ。光子はちょっと名の知れた慰問歌手。各地の基地を回って兵隊に少しばかりの安らぎを与えていた。光子は来週から夏彦の歌のレッスンを受けるのだ。
 光子の家の隣には川松涼子(滝ありさ)が住んでいる。彼の兄の俊三(野沢トオル)は憲兵をしている。涼子はまだ学生だが、当時の学生は畑を耕したり勉強をする環境ではなく、お国のために働く存在だ。涼子は小説家になりたくて本当は勉強をしたいのだ。
 鈴木育代(小野綾子)は独り身だが九州に向かった弟・修(小川大悟)を心配している。そこではいつ神風として出発するかわからない緊張した状態が続いている。
 友文の姉・吉田達子(小野寺仁子)は闇市で仕入れたキャラメルなど買い友文に与えている。夫の宗吉(犬伏雄一)の稼ぎのほとんどを友文に与えているのだ。自分はなんなんだと友文にあたる宗吉。俺は友文のために働いているのではないと怒る宗吉に、達子はすまないと思っている。友文が5歳の時の空襲で両親が焼け死んだ。母親の手が爆弾で飛び友文の頬にぶつかる。友文が母親にぶたれたのはそれが最初で最後。その時から友文の成長は止まってしまい、昨日のことも覚えていないのだ。そんな友文も宗吉が作った旗だけは大事にしている。宗吉のことが好きなんよ。
 夏彦のレッスンが始まる。夏彦は進藤をお使いに出すが帰り道に迷ってしまう。そこで知り合ったのは遊女のしずく(稲村優奈)。彼女は良いところのお嬢様であったが空襲で両親や友人、使用人を失ってしまう。唯一生き残ったのはおはな(飯田奈織)だけ。二人は生きるために遊女となったのだ。進藤は彼女に帰り道を聞いて無事に帰れる。
 夏彦は光子に1冊のノートを手渡す。新品のノートが珍しい時代だ。光子は何を書こうか迷うが、夏彦は楽しかったことを書きなさいと言う。
 次のレッスンでは夏彦は進藤に闇市でスイカを買ってくるように言う。その帰り、進藤はまたしずくに会いに行く。彼女の故郷・神戸が焼け野原になり、友達を失うのがイヤで心を閉ざしてもう友達を作らないようにしていることを知った進藤は、自分は空襲で爆撃を受けても死なないことを誓う。しかし持っていたスイカはおはなに食べられてしまう。
 この頃、他の都市の空襲は激しいのになぜか広島だけは空襲がぱったりやんでしまう。そんな頃、夏彦は光子に軍歌ではなく楽しい歌を歌って欲しいと言う。やがて日本はアメリカに負ける。その時、国民を癒すのは軍歌ではなく楽しい歌なのだ。神の国である日本が負けるわけがないという光子に、「君は誰かを死なせるために歌を歌うのか。」と言う夏彦。
 九州ではとうとう神風が飛び立つ日が来た。修やその仲間も飛び立つ。その知らせを聞いた育代は悲しみながらも立派に死んでこいと涙を流して応援する。
 そんな時、西条に住む光子の親戚が急病で倒れ、光子はその看病のため広島を跡にする。

 数日後、広島に新型爆弾が落とされた。人々の体は焼かれ、水を求めて川に飛び込む人々。宗吉は友文をかばって友文に覆い被さるが二人とも焼け死んでしまう。「絶対死なないと約束したやんか。」としずくは進藤の遺体に抱きつく。涼子もみんな死んでしまった広島に光子は戻ってきてつぶやく。「私は何で生かされているの?」自分は慰問歌手として兵隊に歌を歌うことで兵隊に一時の安らぎを与えていたと思っていたが、実際は死ぬために送り出していただけに過ぎないと自分を責める。

 そして現代、敬介は姉の真夕に起こされる。その夢で敬介は命の重さを知る。



●感想、思ったこと
 この記事は広島にリトルボーイこと原爆が落とされた8月6日までに記事にしたかったのですが遅くなってしまいました。長崎に落とされた9日になんとか間に合わせようと記事にしています。
 この時期ありがちな戦争ネタですが、出演者の熱演には涙する場面もちらほら。そして笑いの場面もあります。とても良いストプレです。約2時間休憩なしなのがいい。きっと休憩があったら中だるみしちゃうかもしれません。しかし会場はパイプ椅子なので演じている人もつらいでしょうが、見ている人もつらいです。大道具も正直ちゃっちいです。そしてIZAMが現代風過ぎて違和感ありあり。一方で石川梨華はだいぶ検討していました。
 ですがやっぱり涙しちゃいます。日本はなぜこんな過ちを犯したのか。そして今も過ちを犯し続けている国がまだまだ多くあります。僕らが想像していた21世紀は車が空を飛んだりみんなが楽しく幸せに暮らしている世界だったと思います。戦争がある21世紀を迎えることを楽しみにしていた人なんていないと思います。なんで戦争なんてするんだろう。
 そして鈴木修や仲間の木下悟(庄田侑右)らが飛び立つ時の台詞はさだまさしの「兵士の手紙ときよしこの夜」を思い出させます。きっとこの曲を聴いたら涙しちゃうと思います。
 唯一の戦争での被爆国である日本の総理が「現在の国際情勢では、核抑止力は必要だ。」と述べています。日本は65年前何を学んだんだろうと思います。日本を除くすべての国が核を持ったとしても日本は核を持たないと言って欲しいのに。
 今年の晩夏に九州に行こうと思っているのですが、知覧に行ってみたい。



観て良かった度:●●●●○ 4点 最低1点、最高5点









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