イベント:東京大学理学部公開講演会~理学がとらえる太陽と資源、エネルギー~




 東京大学の理学部が主催している講演会が春と秋の年2回実施されています。今回は4月25日に行われた理学がとらえる太陽と資源、エネルギーを聴講してきました。
 写真は赤門から入って正門に向かうところ。芽吹いたばかりのイチョウがとてもきれいです。

 そう言えば数日前に2008年のミス東大の森千晶さんがテレビで東大を紹介していましたが、ちょうどこの辺にある東大グッズの売店でしたね~。その売店は日曜日はお休みのようですし、理学部の森さんも当然ながら会えるわけでもなく・・・。


 写真は正門から安田講堂に向かうイチョウ並木。青空と相まって新緑がとても美しい。

 さてさて講演の内容ですが、今回は3つの講演が行われました。
(1) われらが太陽
(2) 葉はなぜ黒くないのだろうか - 光合成工場としての葉を解剖する
(3) メタンハイドレートに非在来型エネルギー資源の可能性を探る

(1) われらが太陽
 「日」と言う字は太陽を見立てた丸の中に、黒点を配した形が起原になっているという説もあるそうです。その黒点をガリレオが初めて観測しましたが、黒点の移動から太陽もまた自転し、しかも緯度によって速度も違うそうです。そして11年周期で黒点の量、すなわち太陽の活動周期が増減しています。17世紀にはマウンダー極小期黒点がほとんど現れない時期(太陽活動が低下している時期)が長く続き、ヨーロッパでは長期の寒波に見舞われたそうです。
 太陽の表面を拡大してみると粒状班と呼ばれる現象が見られます。講演では動画を見せていただきましたが、講演者も言っているように味噌汁をわかしすぎた時の表面のようです。
 衛星を使って観測すると太陽表面からガスが吹き出す瞬間が見えます。その高さは太陽の半径よりも数倍高いところまで届きます。その際には地球にも磁場や放射線など影響が出ます。
 そんな太陽、すなわち一番近い恒星を観測するために、最近では太陽の震動を使って観測する技術が進歩しているそうです。太陽はどんな波長を使ってもその内部を見ることはできませんが、太陽の活動で生じる震動を観測することで内部の動きを予測します。これらは“地震学”ではなく“日震学”と呼ばれる学問だそうです。
 残念ながら難しい話はわかりませんでしたが。。。


(2) 葉はなぜ黒くないのだろうか - 光合成工場としての葉を解剖する
 僕が今回の講演を聴きに行こうと思ったきっかけの講演です。なぜ葉っぱは黒くないのか。そんな疑問を昔持ったことがあるんですが、黒だと熱が上がりすぎて酵素が不活性化してしまうからかなぁと思っていました。
 その疑問を友達にぶつけると「なんで黒だと思うのかがわからない。」と言われてしまいました。「たくさん光合成するためにたくさん光を吸収しようとしたら、すべての光を吸収する黒の方が有利そうじゃん。」というと「なるほど。」と言われ話がそこで終わってしまいましたが。
 葉緑体が緑と言うことは、光の三原色の緑以外、すなわち赤と青が吸収されると言うこと。実際、葉緑体の中で活躍する酵素Rubiscoは、赤い光を吸収すると第一励起状態に、青い光を吸収すると第二励起状態になり、フォトン1つに対して生物のエネルギー単位とも言えるATPを6~8個作るそうです。しかしこのRubiscoは酸素とも親和性を持っていて酸素と反応してしまうと光合成のカルビンサイクルを阻害するホスホグリコール酸を作ってしまうそうです。阻害反応を考慮に入れるとRubiscoの反応速度は1秒に1個の二酸化炭素を固定するのみ。酵素反応はピンキリですが1秒に何万個の基質を反応させることができるものもあるので非常に遅いことがわかります。つまり植物も高効率にRubiscoを反応させたいはずです。
 ところが1つ問題があります。赤や青の光は葉肉を作る柵状組織に吸収されやすいのです。そこで植物が進化する際にとった作戦は。。。あえてRubiscoが吸収しにくい緑色の波長の光で光合成することです。緑の光は柵状組織や葉緑体に吸収されないため葉の裏側にも届きます。さらに広葉樹の多くは葉の裏は表よりも白っぽくなっていますが、この白に反射されてまた表側に向かいます。こうすることで葉の全面で光合成が可能になるのです。
 大きな木の葉はあまり裏が白くありません。これは下の方の葉も光合成できるようにわざと光を透過するようになっているのですが、シダ植物のように地面に近い植物ではより裏が白くなっていて、それよりも下の葉のことを考えずに自分だけ考えればよいので、できるだけ反射効率を高めているそうです。
 朝や夕方の光の弱い時は赤と青の光を使って葉の表が光合成をし、昼間は全面で光合成をする。自然が長い年月をかけて編み出したわざです。ちなみにもともと光の弱い水中の植物は黒い葉緑体もあるそうで、これは強い光のことを考えなくてよいので、出来るだけ光の吸収率を高め、赤、青、緑すべての光を使って光合成するそうです。
 質問で、室内の植物を育てるためのピンク(赤と青の光)の蛍光灯があるけれどという話になりましたが、演者はあまり意味がないと言っていました。でも、僕的には葉の中を拡散して光合成するほど蛍光灯の光は強くないので、やはりピンクの蛍光灯の意味はあるんじゃないかと思いますが。


(3) メタンハイドレートに非在来型エネルギー資源の可能性を探る
 最後はメタンハイドレートの講演です。通常気体であるメタンですが低温で高圧にしていくと固体のメタンになります。よく新聞では「シャーベット状」と書かれますが、実際はカチカチだそうです。地上に持ってくると圧力が低下するので溶けてシャーベット状になってしまいますが、本当は固い固体だそうです。実際はメタンだけでなく水も含まれており、1m3の中に、気体換算で170m3のメタンと0.8m3の水からなるそうです。
 深さ2500~3100mの海底のさらに数10~数100m下に存在しているそうです。当初は微生物が分解されたメタンがメタンハイドレートになったと思われていたそうですが、実際は海底より深いところで行われている火山活動で有機物が熱分解されて、地殻の割れ目から出てきたメタンが冷やされてメタンハイドレートになったそうです。
 メタンハイドレートは温度や圧力(水深)などに影響し、ちょっとした刺激で気体のメタンになってしまいます。過去の氷河期の時に海面が十数メートル低下した際に圧力が弱くなり温室効果ガス(二酸化炭素の21倍も温室効果がある)である気体のメタンとして大量に放出されたそうです。一方、水温が上昇しても同様にメタンが放出される可能性があり、地球環境に影響を及ぼすことで危惧されているそうです。
 資源の乏しい日本ですが、日本はユーラシアプレート、北米プレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートがぶつかるところに位置し、地殻運動の激しいところに位置しているため、メタンハイドレートも多く埋蔵されているそうです。
 地球環境で石油から天然ガス(主成分がメタン)にシフトしつつありますが、演者はメタンハイドレートが一定の役割を果たすだろうと述べていました。個人的な感想では、石油を燃やし尽くし、さらにメタンをも燃やし尽くすのかという感じがします。天然ガスやメタンを使うのであれば水素をとりだして燃料電池とし、残った炭素分は今のように二酸化炭素として排出するのではなく、炭素は炭素として固体のまま廃棄するのが理想のような気がします。


 と言うわけで、久々に頭を使った1日でした。実はこの日はWorldVision主催の『手形で「巨大な地球」を完成させよう!』(六本木)というイベントの最終日。本郷三丁目の東京大学に行く前に六本木に寄って、講演が終わってからまた六本木に行ってと、頭だけでなく体も使った日でした。運よく、交通費は1日乗車券の500円ですみましたので、お金は使わない1日でした。








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