映画：BALLAD 名もなき恋のうた

映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦の実写版リメイク作品であるBALLAD 名もなき恋のうたをようやく観てきました。

●ストーリー（ネタバレあり）

　小学生の川上真一（武井証）は、不思議な夢をみる。きれいなお姫様が湖の畔で一人何かを祈っているのだ。一度や二度ではなく、同じ夢を何度も見ていた。
　ある日、真一は女の子と一緒に下校している最中いじめっ子に会い、女の子を置いて一人帰ってしまう。自分のふがいなさに落ち込んだ真一は、大きなクヌギの木の下で、一人悔やんでいる。
　翌日、学校に行く途中、カメラマンである父親の暁（筒井道隆）がこのクヌギの木の写真を撮っていた。父親はこの木が「川上の大椚（おおくぬぎ）」と呼ばれていることを教えてくれる。自分と同じ名前がついているこの木を見ているとどこか勇気が出てくるような気がする。
　そんな時、木の根元に何か埋まっているのを見つけ、真一がそれを掘り起こす。掘り出した木箱を開けると突然真一は気を失ってしまう。
　真一が目をさますと、今までそこにあった大きなクヌギの木はなく、それどころか道路も家もなくなっていた。何が起こったのか？不思議に思う真一は森を歩いていると、草陰に隠れた二人の男を見つける。真一が二人に話しかけると、驚いた二人は逃げ去っていく。
　真一の目の前には多くの兵士がいた。お祭り？ところがその兵は本物だった。怪しい格好をした真一は兵士に捕まってしまう。
　真一は春日という小国の武将・康綱（中村敦夫）の前に連れて行かれるが、真一の話が本当ならば真一はこの国の無敵の侍・井尻又兵衛（草なぎ剛）の命を奪おうとしていた二人から救ったことになる。
　そんな時、廉姫（新垣結衣）がやって来た。夢で見るお姫様によく似た廉姫を見て驚く真一。真一は廉姫に夢の話をすると姫は「そなたは私の願いを叶えるために来たのじゃな。」と言い、真一の世話をするように又兵衛に申しつける。
　又兵衛は戦には強いがおなごにはめっぽう弱いと評判。そんな又兵衛は家来の仁右衛門（吹越満）、その息子の文四郎（吉武怜朗）そしてお里（斉藤由貴）の隣で暮らしていた。
　あるとき、北関東の大名・大倉井高虎（大沢たかお）が狩りのついでにやってきた。狩りというのは名目で、廉姫を嫁に欲しいと言ってきたのだ。小国の春日にとって大国の大名と血縁関係になれば春日の国は安泰だ。しかし、それに喜ばない者が二人いた。一人は廉姫だ。幼い頃から仲の良かった又兵衛のことが好きなのだ。もう一人は又兵衛。又兵衛もまた廉姫のことが好きなのだ。しかし戦国のこの時代、姫と兵士が一緒にはなれない。廉姫にできることは戦で又兵衛の無事を祈るのみだ。又兵衛にできることは国を廉姫を守ることのみだった。
　最初は子守など嫌がっていた又兵衛だが、戦国の世に来ても明るくふるまう真一を見て次第に心を開き、奇妙な信頼関係が生まれる。そんな又兵衛は心配する親に手紙を書いてみたらどうかという。真一は親に手紙を書き、文四郎の案内で大椚のあった場所へと向かうがやはり今の時代にはクヌギの木などどこにもない。真一はふと思い出すと、タイムスリップする直前クヌギの下でドングリを拾ったことを思い出す。このドングリが大椚になるのだ。真一は手紙とドングリを植える。

　現代では学校を休んだと連絡を受けた暁と母親の川上美佐子（夏川結衣）は心配し探しに出かける。そして大椚の根本に手紙を見つける。「僕は今、天正2年の世界に来ています。」と綴られた手紙は最初はいたずらかと思うが、どう見ても最近書いた手紙でない紙質だ。気になった美佐子はネットで大椚の由来を調べてみると、天正2年、春日の国は大国に戦を仕掛けられるが、突如現れた川上真一と名乗る少年とその家族によって勝利に導かれ、彼が植えたクヌギを「川上の大椚」と名付けたと描かれていた。
　最初は疑心暗鬼だった美佐子と暁だが、家にいても何も変わらないと車で大椚に向かう。何も起こらないと苛立つ美佐子だが、二人は突然気を失い、気がつくと戦国時代にタイムスリップしていた。

　高虎に「この祝儀おまえはどう思う？」と問われた又兵衛は、肯定的な返答をする。それを聞いた廉姫はショックを受け、湖に一人繰り出す。そんな時、廉姫は野武士に襲われてしまう。偶然居合わせた文四郎と真一だが、何もできない。そんな時、又兵衛が現れ窮地を救う。姫様は何かあると昔からこの場所に来ていましたからと答える又兵衛。
　４人が城へ戻ろうとする時、一台の車が現れた。美佐子と暁だ。３人は再開を果たすが、現代に戻れない。歴史の通り春日を勝たさなければ帰れないのだ。とりあえず城へと向かうことにするが、廉姫と文四郎は見たこともない動く鉄のかたまりに大はしゃぎ。

　康綱に未来の歴史について教える暁。春日も大国も未来では消え去り、小国春日など歴史にも出てこない。それを聞かされた康綱は、ならば生きたいように生きようと、廉姫と高虎の縁談を断る。それに起こった高虎は春日に攻め入ることを決意する。
　春日の兵は高虎の兵の1/5。しかも女、子供も含めてだ。圧倒的に不利な状況の中、戦が始まる。高虎軍の激しい攻めに対して一日目はなんとか城を守り抜いた又兵衛だが、このままでは到底持ちこたえることはできない。明朝未明、又兵衛と数人が奇襲を仕掛けることにする。その隙にこの戦に関係のない川上一家は自動車で逃げようというのだ。
　勝算のほとんどないこの作戦が失敗すれば又兵衛の命がないことを意味する。それは又兵衛も廉姫もわかっていた。廉姫に報告をした又兵衛はそのまま立ち去ろうとするが、真一が「それでいいの？最後かも知れないんだよ。」と叫ぶ。それを聞いた又兵衛は「姫様、自由にお生きくださいませ。」と言う。「お前が生きて帰ってくれれば、自由に生きよう、お前と。」と、廉姫は初めて自分の気持ちを伝える。
　その夜、暁は車に積んであったカメラで兵士らの写真を撮り、明日の命も知れない兵士らは思い出を作り楽しんだ。

　明朝、いよいよ又兵衛らが出陣をする。暁、美佐子、真一は来る前と向かう。一方又兵衛らは高虎の陣へと攻め入る。奇襲をつかれた高虎兵を蹴散らし高虎のいる陣へと向かうが、高虎兵はすぐに体勢を立て直す。大軍が又兵衛らを取り囲むが、そこにクラクションの音が。「ぶつかっても保険はおりねぇぞ～！」と叫びながら暁の運転する車が高虎兵に突っ込む。見たこともない武器に体勢を崩した高虎兵を一気に押しのけ、又兵衛は高虎のいる本陣へと侵入する。
　廉姫は大名である私より、小国の一介の兵である又兵衛を選ぶのか！高虎は又兵衛に一騎打ちを申し出る。それを受ける又兵衛。命をかけた一騎打ちが今始まる。

●感想、思ったこと（ネタバレあり）

　原作の映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦はテレビでやっているのを録画しようとして、時間を間違えてしまい１時間分しか録画されていなかったため見ませんでした。残念。本作は当然ながら原作を知らなくてもとても楽しめる作品でした。原作とどれくらい違うのかはよくわかりませんが、主人公の真一君はケツだけ星人とか裸になるシーンはありませんでした(笑)。もちろん草なぎ剛くんも、暁からもらったビールを飲んでも「裸になって何が悪い」などと叫んで裸になることはありませんでした。(爆)
　優しい感じのする草なぎ剛くんが、オニの又兵衛を演じるって違和感を感じたのですが、武士としての又兵衛も、真一や廉姫と接する時の優しい又兵衛を演じわけ、とても好演でした。廉姫を演じた新垣結衣もかわいくって、又兵衛を思う優しさ、強さを演じて好感の持てる演技でした。
　子役も手を抜いておらず、主人公・真一は武井証で、ドラマ版、映画版の「いま、会いにゆきます」の秋穂佑司を演じたり、多くの映画やドラマで活躍しているベテラン子役。（ちなみに、今、会いにゆきますのハリウッドリメイク版・“Be with You”は2009年アメリカ公開予定だそうです。）
　文四郎を演じた吉武怜朗は劇団四季出身。2002-2005年にライオンキングでヤングシンバを演じたこともある実力派。（僕が初めてライオンキングを見たのは2006年なので残念ながら彼のことを舞台では見ていないのですが。。。その時の記事はこちら。）
　高虎を演じた大沢たかおさん。大沢たかおさんって優しい感じの役を演じることが多く、そう言う印象を受けますが、イヤな感じの大名もうまく演じていました。
　俳優陣に関してはホントに文句のないキャスティングと演技でした。セットも、マンガ原作の実写映画にあのセットといい、エキストラの数、金をかけてますね～。（最後の“ありがとう”の岩はちょっとプラスティック感が漂う安っぽい感じでしたけどね。）
　ただ、思ったほど感動しなかったんですよね。残念ながら。原作は大人も泣ける超感動作と言われていただけに期待していたのですが。野原一家の視点から、又兵衛・廉姫視点に移ったのが良くなかったのかなぁ。良い映画なんだけど、ひとつ、いやほんのひとかけら分、何かが足りない映画でした。

　ちなみに、現代のクヌギの種を過去に植えて、それが成長して現代のクヌギになったとしたら、あの木の遺伝子はどこから来たのか。..

p.s.
　クレヨンしんちゃん作者の臼井儀人さんが、登山中行方不明。そして本記事執筆時、臼井儀人さんと思われる遺体が発見されたそうです。本人であるかないかは関係なく登山の事故で命を落とすのは非常に残念なことですし、もし本人だとしたら、みんなに感動と笑いをくれた臼井儀人さんが亡くなることは本当に悲しいです。発見された遺体の方の御冥福をお祈りいたします。

観て良かった度：●●●●○ ４点　最低１点、最高５点

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• クレヨンしんちゃん公式サイト
  
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• BALLAD 名もなき恋のうた（文庫）
  
• BALLAD 名もなき恋のうた オリジナル・サウンドトラック（←試聴可）
  
• 映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦
  
• 山崎貴(監督・脚本)
  
• 草なぎ剛(井尻又兵衛 役)
  
• 新垣結衣(廉姫 役)
  
• 武井証(川上真一 役)
  
• 筒井道隆(川上暁 役)
  
• 夏川結衣(川上美佐子 役)
  
• 香川京子(吉乃 役)
  
• 中村敦夫(康綱 役)
  
• 大沢たかお(大倉井高虎 役)
  
• 小澤征悦(高虎の側近・安長 役)
  
• 吹越満(仁右衛門 役)
  
• 吉武怜朗(文四郎 役)
  
• 斉藤由貴(お里 役)
  
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Comments

[かみぃ@未完の映画評]

こんにちは。
自分は『クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦』をすでに観ていたので、なぞっただけのこの映画はいまいち乗れなかったですねえ。
アニメ版の方がしんちゃんと又兵衛の友情物語までしっかり描かれていますし、
しんちゃんのハチャメチャがあってこそ、ラストが引き立ったと思うので。
今作の川上一家は案内役というか、傍観者になっていて、別に真一一人で充分だったようにも感じます。

[よしな]

かみぃさん、コメントありがとうございます。
確かにしんちゃんのはちゃめちゃがあるからこそ、感動する場面が強調されるというのはあるかも知れませんね。かみぃさんの意見に賛成です。

[シムウナ]

TB有難うございました。
本作品を観賞して、ぜひオリジナル版を観賞
したくなりました。と思ったらどこも
レンタル中…みんな考えることは一緒ですね～
許されない愛…戦国時代と現代社会との違い。
身分を超えた悲恋に感動でした。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】～と
ブログの記事の最後に、☆５つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします！！

[よしな]

シムウナさん、こんばんは。
シルバーウィークとは言え不景気ですし、高速も混んでいるし、出かけないという選択をした人も多いでしょうね。加えてウチの近くは昨日、今日はTSUTAYA半額セールやってましたし・・・。機会があれば原作をみたいです。