映画：レッドクリフ PartII －未来への最終決戦－

三国志には興味がなかったのですが、ジョン・ウー監督の超大作、その美しさと迫力に圧倒されてしまったPart Iの続編、レッドクリフ PartII －未来への最終決戦－を観てきました。 　PartIの記事はこちら。

●ストーリー（ネタバレあり）

　2000隻もの軍艦を率いる曹操（チャン・フォンイー）のもとへ、孫権（チャン・チェン）の妹である尚香（ウィッキー・チャオ）は男装して侵入していた。慣れない土地での生活に曹操軍の兵士達にも疲労が溜まり、疫病が蔓延してしまう。そのことを知った尚香は、その事実を伝書鳩に託して孔明（金城武）に伝える。残虐非道な曹操は、疫病で亡くなった兵士たちの死体を船に積み、連合軍のいる彼岸へと流していった。敵兵だがそのままにしておけない連合軍は彼らを葬るが、連合軍にも疫病が感染してしまう。

　一方、軍の士気を高めるために蹴鞠の大会を催して、そこで活躍する兵士を昇進させる。その様子を見ていた尚香のもとに鞠が飛んできた。尚香はその鞠を孫叔材へとヘディングすると、すかさず孫叔材はゴールを決めた。それがきっかけとなり孫叔材は正体を知らずに尚香と親好を深めていく。

　曹操の非道さに憤る周瑜（トニー・レオン）たち連合軍は憤るが、傷ついた兵士と疫病を目の当たりにした劉備（ヨウ・ホン）は撤退を決意する。しかし孔明は周瑜とともに戦地に残った。
　劉備たちが撤退する際に4万本もの矢を持って行ったことを知った周瑜は。これでは人も武器も足りない。その時、孔明は、三日で10万本の矢を調達すると周瑜に宣言する。それができなければ自分の首を切れと。
　藁で覆った20隻の船で敵陣に侵入した孔明は、濃霧で視界不良の中、曹操軍から弓矢での一斉攻撃を受けるが、放たれた10万本もの矢をまんまと手に入れた。失態を犯してしまった曹操軍の蔡瑁と張允は、曹操によって処刑をされる。彼らを失ったら軍艦を束ねるものがいなくなる。そう進言された曹操は処刑をやめるように言うが、時すでに遅し。二人の首はすでに転がっていた。

　一方、曹操軍の陣営の配置図を完成させた尚香が帰還の時を迎えた。しかしスパイであることがバレ、敵兵に取り囲まれてしまう。「親の体調が悪くなったから一時帰るだけだ。」と孫叔材がかばってくれたおかげで、尚香は無事に帰還する。事細かに記された配置図だが、連合軍との兵力の差は歴然。2000隻もの戦艦に連合軍は声を失う。
　曹操らもこの戦いの勝利を確固たるものにするため戦略を立てる。兵力の少ないものが使う戦略、それは火だ。だが風向きは我らに味方している。連合軍が火を使えば風下である連合軍に燃え広がる。逆に我らが火を使えば絶対的に有利となる。曹操軍は火薬を集め、火力を使った攻撃の準備を進める。
　周瑜らはその配置図から、後方の守りが弱く、そこをつぶせば逃げ場所がないことを見出した。しかし少ない兵力を分散させては前方からの攻撃が弱くなる。それを補うには火力を使うしかない。しかし風向きは北西。連合軍が火を放てば風下である連合軍側に火が燃え広がってしまう。
　その作戦を実行するためには風向きが重要だった。気象学や地理学を駆使して、周瑜は連合軍に有利な「東南の風」が吹く日を割り出した。

　その頃、自身が戦乱の発端とを知った周瑜の妻である小喬（リン・チーリン）は、自ら曹操のもとへと向かった。
　いよいよ曹操と連合軍の赤壁での戦いが始まる。しかし風はまだ北西。いつ攻撃を仕掛けるか、そのタイミング次第で両軍の勝敗が決まると言って過言ではない。いざ攻撃を開始する曹操だが、風向きが変わっていないことを知った小喬は、茶を点て曹操を誘う。

　風が止んだ。

　曹操の武将達は風が止んだことを察知するが、それでも茶を飲む曹操に憤ろしく思う。
　それを待っていたのは周瑜軍。火弓を使って、圧倒的な戦力の曹操を連合軍は焼きつくそうとする。火を煽る東南の風にも助けられ、一夜にして2,000隻の艦隊は火の海となる。
　それを心待ちにしていたのは周瑜軍だけではなかった。一時撤退をしていた劉備軍が周瑜の攻撃開始と共に曹操軍の後方から攻め入ったのだ。敵を欺くにはまず味方から。劉備軍は曹操を欺くために撤退したように見せかけたのだった。
　猛攻撃に進む連合軍、ジリジリと後退する曹操軍。戦地で尚香は懐かしい面影を見つける。孫叔材だ。しかし叔材は尚香の前で矢に倒れてしまう。尚香が戻ったことを喜ぶ叔材は尚香の手の中で息絶えてしまう。
　
　その戦いに、小喬は涙を流した。戦いには勝ちながらも、周瑜の胸には虚しさだけが残る。その思いは、孔明も同じだった。最大の友であった二人にも、別れを告げる時がきた。

●感想、思ったこと（ネタバレあり）

　Part Iでは、赤壁でのことがほとんど触れられていないと三国志ファンからは不満の声も聞こえましたが、今回はようやく赤壁の戦いです。
　のっけから迫力ですよね～。20隻の船で10万本もの矢を奪ってくるシーンなんて爽快です。クライマックスの戦いもすっごい迫力。アクション映画を知り尽くしたジョン・ウー監督。さすがです。
　アクションだけでなく、曹操から送られた周瑜の幼なじみを交えた頭脳戦もあり、三国志に興味のない僕でもとっても楽しめました。
　でも、レッドクリフオリジナルキャラクターらしい孫叔材のエピソードはいらないかなぁ～。ちょっとベタすぎるし、時間もそんなに割いていないので叔材のキャラクターに感情移入しないし・・・。アクション映画は天才的なジョン・ウー監督ですが、ヒューマンドラマめいたエピソードは正直イマイチ。そもそも危険な敵陣にスパイに君主・孫権の妹が行くのか？おてんばだという設定なので自ら志願したんでしょうが、もしばれて捕らえられたら孫権の妹であることを利用されてしまうでしょう。
　そもそも孫権って君主なのに、完全に司令官である周瑜が主役ですよね～。下手したら武将以下の扱いです。劉備軍も君主である劉備、影、薄っ！
　ところで、Part Iから気になっていたんですが、連合軍になったときどちらが作戦たてるかもめないんですかね。両軍の軍師でもめたりしないのかなぁ。孔明が目立つからあんまり違和感なかったけど、孫権軍の軍師いないんですかね？
　ジョン・ウー監督の作品であんまり細かいこと考えてもしょうがないか。

　ところで、この映画制作費もすごそうですが、宣伝費もすごいですよね～。あまりテレビを観ない僕でもテレビCMをしょっちゅう見かけます。そしてすごいのが、ホームページ。予告編を作れちゃうんです。wall-eの公式ページは壁紙を作れるんですが、レッドクリフは5種類の音楽と70以上の動画、6種類のテロップなどを組み合わせてオリジナル予告編を作れるんです。字幕は好きに作れるので正規な三国志とは違う予告編も作れちゃいます。
　実はこのページの上部に埋め込まれている予告編は、僕が10分弱で作ったもの。自由に切り貼りしたりできないので凝った物は作れないのですが、ちょっとしたディレクター気分です。
　仕事柄、某アイドルグループのミュージッククリップの絵コンテを見たことがありますが、映像を作るって結構難しいかも。

　ちなみに映画は予告篇が面白いという本を書いている、予告編制作会社「バカ・ザ・バッカ」の社長・池ノ辺直子さんお話によると、お腹いっぱいに作っちゃいけないそうです。お腹いっぱいになっちゃうと見に来なくなっちゃうからですって。
　そして予告編のことを「トレーラー」と言いますが、もともとトレーラーは牽引車という意味。お客さんを映画館に牽引するという意味でトレーラーと言うらしいですよ。

観て良かった度：●●●●● ５点　最低１点、最高５点

• レッドクリフ公式サイト
  
• レッドクリフ Part II DVD(コレクターズエディションDVDはこちら、Blu-ray版はこちら。)(2009/08/05発売予定)
  
• レッドクリフ Part I & II DVDツインパック(コレクターズエディションはこちら、Blu-ray版はこちら。)(2009/08/05発売予定)
  
• レッドクリフ Part2 公式ビジュアルガイド
  
• レッドクリフ オリジナル・サウンドトラック コンプリート・アルバム
  
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• レッドクリフ Part I　スタンダードエディションDVD(コレクターズ・エディションはこちら、Blu-Ray版はこちら)
  
• ジョン・ウー(監督・脚本)
  
• トニー・レオン(周瑜 役)
  
• 金城武(諸葛孔明 役)
  
• チャン・フォンイー(曹操 役)
  
• チャン・チェン(孫権 役)
  
• ヴィッキー・チャオ(孫尚香 役)
  
• フー・ジュン(趙雲 役)
  
• リン・チーリン(小喬 役)
  
• ユウ・ヨン(劉備 役)
  
• ホウ・ヨン（魯粛 役）
  
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Comments

[masya]

早起きしてpart1のＤＶＤを観賞し、その直後、近所のＭＯＶＩＸでpart2を観ました。
顔と名前がなかなか整理されません。そもそも曹操って、そんなに悪党なんですか？原作を知らないのでナンとも言えないですが、この映画の中では随分と悪いことをしてくれますねぇ。疫病で死んだ兵士の遺体を船で流すなんて、倫理的にどうなんですか？
勧善懲悪。良いも悪いも徹底的です。
あと、part2の場面転換するときに、布を裂くような効果、チョッと面白いですね。（part1のあらすじを１分位でおさらいしちゃいましたし）

[よしな]

masyaさん、こんばんは。
僕も三国志は読んでいませんので曹操がどれほどの人なのかわかりません。そもそも1800年も昔ですから倫理感がどれほどのものだったのかわかりませんけどね～。倫理的に言えばそこにいる生物全部を殺傷するナパーム弾や、非戦闘民をも殺す細菌兵器、長い年月被害が及ぶ核兵器も倫理的には問題あると思います。
顔と名前ですが、partIではウザイくらいに字幕で人物紹介が出てましたよね。アレで僕は助かった人の１人ですが、partIIでは少なかったですよね～。

[瀧]

こんにちは
三国志は大好きで高校時代から良く読んでいたので
あらすじもふつうに気にせず読めました
が・・・
見に行きたいんだけどなぁ
タイミングのがしてインフルエンザ流行しそうだし
なにより、全作が掟破りじゃないの？ってくらいの早さでDVDやらテレビ上映したのでDVD待ちで2本1セットででるんじゃないの？なんてよこしまな考えを抱いております（苦笑
くぅ。。。見たいんだけどなぁ

[よしな]

瀧さん、いつもコメントありがとうございます。
うん。確かにすぐにＤＶＤ出そうです。でもあの迫力はぜひ大スクリーンで見て欲しいです。確かに人混みはインフルエンザが心配ですよね。もう少ししたら日曜レイトショーなら空くと思いますよ(笑)

[シムウナ]

TB有難うございました。
中盤からのアクションの見せ場の連続に、時間を
忘れて見入ってしまいました。
前半がもう少し締まってくると最高だったのですが。
しかし、勇気、愛、結束力、信じる心。
胸が熱くなる要素たっぷりの映画でした。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】～と
ブログの記事の最後に、☆５つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします！！

[よしな]

シムウナさん、コメントありがとうございます。
そうそう、アクションすごかったですよね～！でも正直“愛”は微妙でしたが。。。
大スクリーンで観る価値のある、ジョン・ウー作品でした。

[あさこ]

ＴＢありがとうございました。
確かに宣伝、すごいですよね。最近までバンバンＣＭ流れていました。無理やり興行収入目標額を達成させようとしているんじゃないかと思うくらい・・・。
ところで↑の方、インフルエンザ流行を予測されていたのですね。関西では今、えらいことになっていて映画も当分お預けです

[よしな]

あさこさん、コメントありがとうございます。
ね～、関西では大変なことになっていますね。早く収拾がついてくれると良いですね。結構、映画などを控える人聞きますね。