映画：ジェネラルルージュの凱旋

今年２０作品目は、ジェネラル・ルージュの凱旋を観てきました。

●ストーリー（ネタバレ少しあり）

　東城大学付属病院の“チーム・バチスタ事件”を解決に導いた（と思われている）東城大学付属病院の窓際医師・不定愁訴外来の田口公子（竹内結子）は、院内における諸問題を扱う倫理委員会の委員長に図らずも任命された。
　この日の議題は法医学のためにご遺体をＭＲＩにかけることを許すかという議論だった。検査技師は大反対。金儲け主義の三船事務長（尾美としのり）も、そんなことをしたら生きた患者が来なくなる。経営上も問題だという。しかし、欧米では法医学の一環でＭＲＩをとることは通常のことなのだ。議論が行き詰まると、田口は意見を求められた。しかし、「わからない」とつぶやく。それを聞いた倫理委員会の副委員長である沼田准教授（高嶋政伸）は舌打ちをする。彼が実質的な委員長なのだ。
　ある日、そんな田口の元に一通の告発文書が届く。その内容は「救命救急の速水晃一センター長（堺雅人）は医療メーカーと癒着しており、花房看護師長（羽田美智子）は共犯だ」というものだった。
　速水は“ジェネラル・ルージュ（血まみれ将軍）”と呼ばれる医師で、切れ者だが冷淡で非情な彼にはよからぬ噂も多かった。しかし彼には信念があり、どんなに人手が足りなくても絶対に受け入れを拒否しない。逆に夜勤続きの部下達からは反感を買っている場面もあった。特に副センター長の佐藤（山本太郎）からは。。。
　田口はそんな速水を監視することに。確かに彼は医療機器メーカーの副支店長の磯辺（正名僕蔵）から怪しげな袋をもらいほくそ笑んでいることもあった。「３つくらい君にバックしないとな。」
　そんな時、磯辺が病院の屋上から飛び降りて自殺を図った。田口は、またもや高階院長（國村隼）から、病院内を密かに探るように命を受ける。最初は断る田口だが、解決したら委員長を降りても良いという条件で引き受ける。
　今夜も救急救命センターに一人の患者が運び込まれた。足を骨折した厚生労働省の切れ者役人・白鳥圭輔（阿部寛）だった。田口と白鳥は嬉しくもない再開を果たした。実は、白鳥のもとにも田口に届いたものと同じような告発文が届いていたのだ。しかしこちらはワープロで、看護師長のことは触れられていなかった。

田口先生、今回も仕方なく、あなたを助けることになりました。

　「磯辺は自殺ではなく殺人だ。そして速水は告発通り収賄をしている」と口走る白鳥の言葉に田口は首を捻りながら、凸凹コンビの珍妙な捜査が始まった……。

　捜査が始められると、速水は意外にも収賄を認めた。しかも告発文を送ったのは自分だと言い出した。その収賄のお金で救急救命センターで使う備品を購入していたと言う。自分のためには使っていない。花房看護師長が領収書をすべてとっており、それが証明された。そんな時、倫理委員会に出席していた医師、看護師のPHSが一斉に鳴り響く。近くの高速道路で大きな事故が起こったのだ。大勢の怪我人が運ばれてくる。高階院長は言う。「速水君に全権を任せる。」かくして病院全体が戦場と化した。
　一方、速水をはめようとした××は、磯辺を死に至らしめた意外な人物に気がつく。。。

●感想、思ったこと（ネタバレなし）

　前作のチーム・バチスタ事件は評価２点だったんですね。今回のジェネラルルージュの凱旋は５点をつけてしまいました。作りに大きな差はないんですが、田口先生の独特の雰囲気と、白鳥との凸凹コンビというワールドに浸れたというのが評価が高くなった原因でしょうか。前作はただの医療ミステリーとして観ちゃったのがいけなかったんですね。今回はどっぷり世界に浸れ、各所にちりばめられたユーモア、そしてクライマックスの緊迫感、余すところなく楽しめました。
　前作のように、誰が犯人？っていうだけでなく、医療の問題点を描いたドキュメンタリー的な雰囲気もあったのが今回の方が断然おもしろい要因の一つかも知れません。
　他の方の意見を読んでみますとやはり同じように、前作はイマイチだけど今回の作品はとてもおもしろいと書かれている方も多く、goo映画ではこの記事執筆時には89点でした。これは結構高い数字です。

　キャストとしてはやっぱり竹内結子。成果主義で上昇志向を持っていないと給料も下がってしまう今のせかせかした世の中、あんな人が職場にいたら癒されそう・・・。
　阿部寛はやっぱりという感じですが、昨年末に観た青い鳥の村内先生とは全く正反対のキャラですよね～。
　そしてこの映画に花を添えているのはなんと言っても堺雅人ですよね。昔はどちらかというと嫌いな俳優だったんですが、最近は↑。感情を出さないしゃべりが冷酷さと謎めいた雰囲気を醸し出していて、役にはまっていました。
　個人的には貫地谷しほりも良かったです。
　なんか、尻切れトンボみたいな終わり方ですが、とてもおもしろい作品でした。

観て良かった度：●●●●● ５点　最低１点、最高５点

• ジェネラル・ルージュの凱旋公式サイト
  
• ジェネラル･ルージュの凱旋DVD(2009/09/09発売予定)
  
• ジェネラル・ルージュの凱旋文庫・上巻
  
• ジェネラル・ルージュの凱旋文庫・下巻
  
• 海堂尊原作
  
• 中村義洋(監督)
  
• 竹内結子（不定愁訴外来医師 田口公子 役）
  
• 阿部寛(厚生労働省 大臣官房秘書課付技官 白鳥圭輔 役)
  
• 堺雅人(救命救急センターセンター長 速水晃一 役)
  
• 羽田美智子(救急救命センター 花房看護師長 役)
  
• 國村隼(高階院長 役)
  
• 山本太郎(救急救命センター副センター長 佐藤拓馬 役)
  
• 貫地谷しほり(救急救命センター看護師 如月翔子 役)
  
• 尾美としのり(三船啓二事務長 役)
  
• 高嶋政伸(精神神経科准教授 沼田利博 役)
  
• 平泉成(第一外科教授 黒崎誠一郎 役)
  
• 野際陽子(不定愁訴外来看護師 藤原真琴 役)
  
• 佐野史郎（垣谷医師 役）
  
• 玉山鉄二（酒井医師 役）
  
• 正名僕蔵（医療メーカーの支店長 磯部 役）
  
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Comments

[masya]

前作と同じ病院が舞台で、主要人物も同じ人がやってます。自分には、かなりツボ、楽しめました。
原作（自分は未読）も傑作との事ですが、未読でも充分堪能できますね。

将軍役の堺雅人は「篤姫」でも周囲を欺く将軍役だったし、何でこんなに看護婦姿が似合うかって位の羽田美智子との絡みも面白かった。
チョッとしか出てこない玉山鉄二や佐野史郎等、前作を観た人をニヤリとさせる仕掛けが沢山です。
劇中登場する「ドクターヘリ」はフジテレビの番組のと同じみたいだったし、「ＴＢＳ／朝ズバ！」の天気予報を担当してる根本さんも女子事務員役で出てました。
尾美としのり、貫地谷しほり、國村隼、野際陽子、高嶋政伸らも数多くＴＶドラマで共演して見るほうに安心感を与えてくれました。
主役の２人より、（主役の存在感を殺してないという点で）脇を固める役者がすごくよかったと思います。

阿部寛の車椅子の扱いのスムーズさには脱帽です（意外と難しいんですよ）。
ＤＶＤ化されたら、前作と一緒に「一気観」したいですね。

[よしな]

masyaさん、コメントありがとうございます。
キャストで言えば、「尾美としのり、貫地谷しほり、國村隼」って、ドラマ「あんどーなつ」の主演３人組でした。こんなところで再開って感じですね。でも３人が一緒に出ているシーンは少なかったけど。
２時間ドラマでもいいんじゃない？という意見もあるようですが、主役だけでなく脇役も一流俳優で固めているのは２時間ドラマではできないキャスティングですよね。