劇団四季:アルデールまたは聖女
旗揚げから55周年を迎えた劇団四季の処女作、25年ぶりに再公演。アルデールまたは聖女を観てきました。劇団四季の劇は僕にはあまりあわないので観なくてもいいかと思っていたのですが、観に行ってきました。
●ストーリー(ネタバレ少しあり)
平和なフランスのとある避暑地。小高い丘の高みに立つ館はレオン・サンペ将軍(志村要)の館だ。ここにはほとんど寝たきりの夫人(斉藤昭子)、女中のアダ(団こと葉)、将軍の妹のアルデールとが暮らしていた。アルデールは背中が曲がっており40も越えたが未だ独身。花の手入れや家事をしながら暮らすその暮らしぶりはあたかも聖女のようであった。
ほとんど寝たきりの夫人は15分置きに将軍の名前を呼ぶ「レオン!レオン!」と。もう何年もこんな状態が続き、自由を奪われた将軍はアダと浮気をしている。
そんなある日、将軍が家族会議を開くため家族を呼び寄せた。なんとアルデールが将軍の息子トトのラテン語の家庭教師と恋をしたのだ。驚いた将軍はアルデールを説得したが、アルデールの恋心に変化はなかった。慌てた将軍はアルデールを部屋に閉じこめてしまったのだ。
やってきたのはアルデールの妹・リリアーヌ(野村怜子)と将軍の長男マキシムの夫人であるナタリー(木村花代)、そして将軍の次男・ニコラ(田邊真也)。リリアーヌは夫である男爵(味方隆司)と恋人のヴィラルデュウ男爵(栗原英雄)を連れてきた。
家族ではないのに家族会議に出なくてはならなくなったヴィラルデュウはバツが悪そうにしている。
アルデールは将軍に幽閉されてから食べ物もろくに食べない。一同はなんとかアルデールと話をしようと将軍がアルデールに出てくるように言うが、一向に出てこない。続いてヴィラルデュウも説得にあたる。
一方でリリアーヌの夫は恋人・ジョゼットに電話すると彼女は薬を飲んで自殺を図っていた。また、ナタリーは元恋人であるニコラと夜な夜な会うように。。。
物語が進むにつれ、一つ一つ暴かれるさまざまな人間模様。アルデールの、そしてみんなの運命はどこへと向かうのか。
●感想、思ったこと(ネタバレあり)
劇団四季はジロドゥとジャン・アヌイ作品をやりたくて旗揚げされたそうです。ジロドゥ作品は、オンディーヌや、トロイ戦争は起こらないだろうを観ましたが、どうも僕にはあわないようです。ジロドゥの本作は、ストリートプレイとしては比較的わかりやすい作品でした。
でも、この辺のストプレってハッピーエンドじゃないから正直ちょっとなぁ~。ハッピーエンドでなくても泣ける作品なら見終わったあとの評価も良いんでしょうが、この作品はハッピーエンドでもなく、泣ける作品でもなく、淡々と物語が進んでいきます。そしてアルデールたちが死んでしまったところで終わり。なんとなく中途半端という感じで終わってしまいます。だから感想も、おもしろかった、つまらなかったという感じもないんですよね。
話は変わりますが、1/23のこの日、雨の中劇場スタッフが多かったです。安部元総理が観劇にいらしたユタと不思議な仲間たちの時はスタッフだけでなく報道陣もすごかったですが、今回は報道陣はいなかったので、当時の劇団四季関係者とかかなぁ?と思いながら通り過ぎていました。
本作に話を戻しますが、夫人が「レオーン!レオーン!」と呼ぶその声とクジャクの鳴き声が似て聞こえるという設定なのですが、気になって検索してみました。クジャクの鳴き声は「クェーン」とか「ケオーン」「イヤ~ン」「キーオウ」と泣くそうです。フランスではやはり「レオーン」と聞こえるそうです。へぇ~~。
自由劇場のストプレってキャストがだいぶ固定されていますね。僕もだんだん顔と名前、声、そして癖などもわかってきて、以前よりも楽しめるようになってきました。
ヴィラルデュウ役の栗原さんは表情も良くて演技もすばらしく、声にも迫力があるんですが、以前も台詞を間違えたこともあり、今回もちょっと危なっかしかったです。
レオン将軍役の志村さん、軍人役が多く今回も。固そうな役が多いけど、プライベートはちょっと天然っぽい。そんな志村さんが女中の虜で、あんなことやこんなこと・・・。
女中のアダは、席がかなり前だったのでドキドキしちゃいましたが、僕の席からはちょうどテーブルが邪魔になってよく見えなかったんです。う~ん、残念(笑)
リリアーヌ役の野村怜子さんは、今回は野村さんのあの声があまり堪能できなく、ちょっと残念。
今年もこれからいろいろな作品が公演予定です。楽しみです。
観て良かった度:●●●○○ 3点 |
この記事へのコメント
TBありがとうございました。
私も、この次第に寒くなる「喜劇」から、簡単な言葉では表現できないものを受取った気がします。しかも、それほどありがたいものではなくて、改めて「演劇って?」と感じる「何か」ですね。
「これで旗揚げした」という事が、また更に、重い感じです(笑)
> 改めて「演劇って?」と感じる「何か」ですね。
あははは。確かに。まだフランスの作品の良さを理解できていない僕としては、これをやりたくて劇団を作るほどの魅力がわかりません。
それでも、観に行ってしまうと言うことは、口(文章)では表せない魅力を心では感じていると言うことなのでしょうかね。