映画:ハッピーフライト
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●ストーリー(ネタバレあり)
ボーイングが羽田を出発。なんの問題もなく離陸した物の、その直後速度計がおかしいことに気がつく。パイロットの鈴木和博が必死で立て直そうとする。しかしその努力もむなしく、海へと突っ込んでしまった。「シミュレーションで良かったな。」教官の声が鈴木の心に響き渡る。「あんなむちゃな設定、あの教官、俺らをいじめて楽しんでるよ。」そうつぶやく鈴木。
ある朝、キャビンアテンダントCAの斉藤悦子(綾瀬はるか)は仲間と羽田空港へ向かう。彼女たちは今まで国内線のCAを務めていたが、今日、初めての国際線を担当する。「あんたんところのチーフパーサーって、鬼の山崎(寺島しのぶ)じゃない?水分たくさんとっといたほうがいいって話よ。」「えっ?どうして?」「たくさん泣くからよ。」不安になる悦子。
悦子が着替えて到着すると、すでにブリーフィングが開始されていた。早速鬼の山崎に怒られる悦子。出だしからつまずいてしまった。
一方、鈴木は、機長昇格への最終訓練である、乗客を乗せた実機での操縦に臨む。教官は、まず間違いなく合格を出してくれる仏のような望月機長(小日向文世)。安心しきっていると、その望月は風邪をひいてしまい、代理を頼んでいた。その代理機長は厳しいことで有名な原田典嘉(時任三郎)。緊張の波に呑まれる鈴木。
鈴木副操縦士は機体の点検を始めるが、エンジンからたれたオイルが顔に当たってしまう。それを機体から見ていたCA達は鈴木を笑う。CA達も機内食を積んだり準備で大忙しだ。一方鈴木は、もし目に入ったら試験どころじゃないぞ。なぜ帽子をかぶらないんだと怒られてしまう。
今日の機体のトラブルは2つ。エンジン系と、ピトー管(速度を測る装置)の2つ。エンジンの交換パーツを持ってきたドック整備士の中村弘樹(森岡龍)は機長やライン整備士の小泉賢吾(田中哲司)の断りもなく交換を始めてしまう。時間的に両方を直すことができないこの状況では機長とライン整備士とが話し合って、何を優先的に直すか決めなければならないが、中村は勝手にエンジンのパーツを交換し始めたのだ。「何分かかる?」「8分でできます。」「7分でやれ。」中村はエンジンに工具を置き、小泉に怒られながら10分で交換が完了。「俺が7分でやれと言ったら、7分でやるんだ。」そう怒られる整備士。ピトー管は予備があるため、とりあえずエンジンのパーツ交換を行い、ピトー管の修理は行わないことになった。
その頃グランドスタッフも大忙し。新婚旅行に行く予定だったが、飛行機が怖いから行きたくないと騒ぐ新婦(藤本静)。グランドスタッフの木村菜摘(田畑智子)らがなだめるがトイレの個室に隠れてしまう新婦。グランドマネージャー(田山涼成)がなだめることに成功するが、木村らは「二人分でいくらになると思ってるんだ!」とこれくらいさっさとなだめろと怒られる。
田中を襲うトラブルは続く。先ほど預け荷物を受け取った男性は、他の人の荷物と間違えてしまったというのだ。同じスーツケースを持つ女性が遙か彼方を歩いているのが見えた。大声で呼び止めるがヘッドフォンをつけた彼女には届かない。走って追いかけるが転んでしまう田中。それでも追いかける。しかし彼女は荷物をバスに載せ、そのバスは出発してしまう。整理係から拡声器を奪いバスを追いかける田中。無事に荷物を交換でき一安心する田中に、その男性は「お礼がしたいから」と名刺を渡す。ちょっと嬉しい瞬間だ。田中の顔にも笑みがこぼれる。
いよいよ登場開始。ところがここでもトラブルが。手荷物のサイズが大きいお客(菅原大吉)がいたのだ。CAの田中真理(吹石一恵)がお客に預け荷物にするように言うと、そのお客は激怒。木村は田中に「今から預けると定刻に出発ができません。お願いします。」とその荷物を飛行機に載せようと、足が飛行機に乗った瞬間、田中は怒り出す。グランドスタッフが飛行機に足を乗せるなどあってはならないのだ。
悦子が客席を見て回るとお客(笹野高史)のカツラが今にも落ちそう。そーっと直す悦子。
まだまだトラブルは続く。前の便の機長から管制官(宮田早苗)に連絡が入った。鳥が多いと。管制官は早速バードパトロール(ベンガル)に連絡。この日、バードパトロールの取材が入っており、記者を連れて現場へと向かう。バードパトロールは銃で鳥を威嚇するのだ。「カラスやスズメは頭がいいから飛行機に近づかないんだけど、カモメはダメだね。ありゃ、バカだ。」「カモメはバカですか。。。」管制官の指示でバードパトロールが銃を構えると、記者らが急に彼を止めにはいる。実は記者ではなく、愛鳥連盟の団員だったのだ。「これは空砲なの!だから大丈夫。」そう答えるバードパトロールだが、今出発した、鈴木の操縦するボーイング747-400はカモメの群れに突っ込んでしまった。近くの公園ではアマチュアカメラマンが無線を聞きながら飛行機の写真を撮っている。「あ~あっ、やっちゃいましたね。あれは突っ込みましたね。」と言いながら写真を撮っている。
飛行機の中では離陸時の映像を乗客に見せているが、そこでもカモメの群れがうつっていた。それに動揺してしまった鈴木は、雲の中に突っ込んでしまう。飛行機はすぐに氷点下になってしまう。その前に雲に入れば、その水蒸気で凍ってしまう可能性があるからだ。早速原田に怒られる鈴木。そうこう言っている間に、右側のピトー管に異常が出始めた。右側のピトー管は修理できなかった物で、ヒーターが壊れているのだ。そこに先ほどの雲の水蒸気が入り凍結してしまった。「こういう場合はどうするんだ?」原田に言われて鈴木は「左側に切り替えます。」「その通りだ。」緊張で汗をかく鈴木は左側に切り替えるとコンピュータは正常に作動し始めた。
ちょうどその頃キャビンのチーフパーサー山崎から連絡が入った。「ベルト着用サインはまだ消えませんか?」鈴木がベルト着用サインを消し、山崎が乗客へのアナウンスを始める。「何でこんなに遅いのよ?!」田中が吐き出すように言うが、悦子にはその意味がわからなかった。
飲み物のサービス、機内食を配ったりと大忙し。またもやトラブル発生。悦子が配る機内食ではビーフの料理が足りなくなってしまったのだ。「頭使いなさいよ!」と怒られた悦子は「ペパーミントとローズマリーを効かせて焼き上げた白身魚と、ただのビーフどちらになさいますか?」とアナウンスするとみんなが魚料理を選択。しかし、すでにビーフを選択していたカツラのお客は噴き出してしまう。
悦子はお客に色々頼まれる。カツラのお客からは酔い止めの薬を、子どもはアップルジュース、青年からはホワイトワイン、中年男性は週刊誌・・・。悦子がそれらを準備しようとすると先輩達は青竹踏みをしながら食事をかっ込んでいた。「あんたも食べないと持たないわよ。」悦子も食事を掻き込む。そしてジュースやワインを配ると・・・。青年からは「これジュースじゃねぇかよ!」と文句が出る。はっとする悦子。「飲んじゃダメ~!」そう、子どもに渡したのはワインだった。急いでワインを回収する悦子だが、勢い余ってワインを頭からかぶってしまう。さらに「私が頼んだ物は・・・。」「あれ?なんだっけ?・・・・あっ、酔い止め。」ところが時すでに遅し、カツラの男性は悦子のエプロンに戻してしまう。
トイレでエプロンを洗って出てくると修学旅行中の女子高生が「一緒に写真撮ってください」と駆け寄ってくる。「CAになるためにはどんな勉強すればいいですか?」「CAなんてやめなさい。」涙が出てくる悦子。悦子はとうとう山崎にバックヤードに下がるように言われる。
まだまだトラブルは続く。ビジネスクラスに出すチョコレートが吹きこぼれて台無しに。料理が得意な悦子が呼ばれ、機内でケーキを作ることに。限られた材料、機材でケーキを作り出す。お客も気に入ってくれ、悦子は少し自信を取り戻した。そんな時、山崎からコックピットに連絡が入った。エンジンに鳥のような物があたったとお客様から連絡があったというのだ。山崎が確認するとエンジンと翼が黒く汚れている。原田が客室に向かうと急に揺れが。その揺れで荷物が落ちて来た。とっさに受け止めた原田は手に怪我をしてしまう。原田がコックピットに戻ると、オートパイロットがキャンセルされていた。「何やってんだ!」
みるみる速度が遅くなっている。焦る鈴木に原田は「こういう時は笑えと教えている。」「ハハハハ」乾いた笑いを見せる鈴木。
長年の経験で原田は、失速しかかっているのではなく逆に速度が出すぎているのではないかと考える。そうピトー管が壊れ速度計が破損すればコンピュータは速度が落ちていると判断し速度を上げる。それでも速度が戻らないからオートパイロットはキャンセルされる。
鈴木は羽田に連絡。「エマージェンシーを宣言しますか?」原田は「宣言します。」と答える。オペレーションセンターでは現在の気象、今後の予測、燃料の残り具合を計算、どうするかを判断する。鈴木はディスパッチャーの中島詩織(肘井美佳)に言う。「早くしてくれよ。こっちはさっさと戻りたいんだ。」
整備士の中村も帰ろうとしているところにこのニュースを聞きつけた。エンジンの上に工具を置いて怒られたことを思い出し、自分の工具を点検する。スパナが1本ない。もしそのスパナがエンジンに置き忘れていたら・・・。整備士全員でスパナを探す。床の上、他の人の工具箱、ゴミ箱の中まで。
木村も先ほどのお客と食事でも行こうかとルンルン気分のところにマネージャーから報告を受けた。戻ってくる乗客のためにホテルの用意などをしなくてはならない。そんな時、飛行機オタクがボーイングとカモメの衝突写真をネットで見ていたのを木村は思い出す。木村はオペレーションコントロールセンターに連絡。ピトー管にカモメが引っかかっているのを発見。そのカモメが何かのショックでピトー管と一緒に外れてそれが翼にあたったのだ。予備のピトー管がなければ速度がわからなくなるのも当然だ。羽田に引き返すことが決まった。怒る乗客、不安に思う乗客。それをなだめるCA達。さらに事態は悪化。原田が乗客を安心させる放送している間に落雷が。しかもその落雷に驚いてあげた鈴木の悲鳴が乗客に放送されてしまう。羽田にも落雷が。いくつかのコンピュータが使えなくなる。オペレーションコントロールセンターの窓際・高橋昌治(岸部一徳)の指示で、出発ロビーにある羽田空港の模型をオペレーションコントロールセンターに運び、アナログで指示を出すことに。
いよいよ着陸態勢に。落雷のショックで凍結していたピトー管が溶け、速度が戻ってきた。ところが視界は悪く、横風は強い。斜めに流されながらも何とか着陸。乗客からは拍手がわき起こる。
女子高生が降りる時、「やっぱりCAになりたい。」と悦子に言う。「きっびぃわよ」そう答える悦子。
こうして長い一日は終わった。
数日後、鈴木の制服は3本線から4本線に変わっていた。
●感想、思ったこと(ネタバレあり)
止めどなく襲うトラブル。そのスピード感というかテンポがとても良くって、良かったですね。平日でしたが決行お客さんも多くて、みんなで笑っていました。やっぱりコメディ(?)はガラガラの映画館よりもある程度お客さんが入っていて一緒に笑うような感じがいいですね。
でも一つ気になることが。テーマになっているのは羽田発ホノルル行き国際線。僕はそれほど羽田空港を利用している方ではないと思いますが、撮影はたぶん国内線の第2ターミナル。しかも羽田空港の国際線はたしか2000km以内という距離制限が国土交通省から出されていて、ホノルル行きの国際線は飛べないはずなんですよね。まぁ、映画の本質とは関係ありませんけどね。
しかし、映画の力ってホントすごいですよね。ボーイング747-4001機が15日間、撮影目的で無償貸与ですよ。ドラマGOOD LUCK!!は放送直後ANAの株価が急上昇したことも関係するのか、ANAは映画やドラマに優しいですよね。
改めて思うのが、当然ですが、飛行機とばすのにいろいろな職業の人が関わっているんだなぁと言うこと。ホントお仕事ご苦労様です。でも、パーツの交換や工具の返却って1人でやるモンなんですかね?二人以上でチェックしながらやるもんだと思っていました。工具の置き忘れや、手術のガーゼや器具の置き忘れだけはやって欲しくないですね。それにしても、今回の責任を追及していないところが良かったですかね。もしかすると整備士が暴走せずにいればピトー管を直そうと言うことになり、1つ壊れても大丈夫だったかも知れないし、鈴木が雲に突っ込めばピトー管が凍らずにすんだかも知れない。バードパトロールが空砲を発砲していればカモメにあたらずにすんだかも知れないし。。。
なんか、映画の感想をあまり書いていませんが、ブログの文字数制限があってこれ以上書けないのでこのくらいで終わりにさせてもらいます。m(_ _)m
最後に、1つ疑問が。ピトー管で測定できる速度は風を考慮できないですよね。例えば飛行機が時速800kmとして追い風10km/hならピトー管で測定できる速度は790km/h。対地の速度や風の速度はどうやってわかるんでしょうか。この前飛行機に乗った時、風の速度と向きがリアルタイムに表示されていて疑問に思ったのですが。対地速度はGPSですかねぇ?
※僕が撮影した飛行機の写真はこちら。エプロンから撮影とかしてみたいですけど、素人カメラマンには叶わぬ夢か。
観て良かった度:●●●●● 5点 |
- ハッピーフライト公式サイト
- ハッピーフライト スタンダードクラス・エディションDVD(ビジネスクラス・エディションはこちら、Blu-rayファーストクラス・エディションはこちら)(2009/05/22発売予定)
- ハッピーフライト(単行本)
- ハッピーフライト 創作ノート
- ハッピーフライト サウンドトラックCD
- CA STORY in ハッピーフライト
- ANAで知る!「ハッピーフライト」の世界
- ハッピーフライト オフィシャルガイド
- 矢口史靖(監督)
- 亀山千広(製作)
- 田辺誠一(副操縦士・鈴木和博役)
- 時任三郎(機長・原田典嘉役)
- 小日向文世(風邪をひいている機長・望月役)
- 綾瀬はるか(CA斉藤悦子役)
- 吹石一恵(CA田中真里役)
- 寺島しのぶ(チーフパーサー・山崎麗子役)
- 田畑智子(グランドスタッフ・木村菜摘役)
- 平岩紙(グランドスタッフ役)
- 岸部一徳(オペレーションディレクター・高橋昌治役)
- 柄本明(悦子の父役)
- 笹野高史(カツラの乗客役)
- ベンガル(バードパトロール役)
- ハッピー・フライト スペシャル・エディションDVD(同名タイトルの別作品です)
- ↑お買い物は「Amazonポイント」サービスも開始したAmazon
で。
- 楽天市場のポイントもたまる
楽天ブックスもどうぞ。
この記事へのコメント
しっかり書き込んでいますね。
ボクはできるだけ400~800までに収まるようにと思っていますが、なかなか文が続きません。
円高で海外旅行のチャンスです。
日本の飛行機はなんとなく新幹線みたいで落ち着きます。(笑)
無駄に長く書いちゃってます。短く、端的に書きたいんですけど、難しいですね~。
確かに円高は海外旅行のチャンスですよね。特に1月から年長サーチャージも下がりますし。どっか行きたいなぁ
ポジションごとに皆バラバラな価値観で動いてるんですね。職場というより、学校という雰囲気「スチュワーデス物語」や「アテンションプリーズ」「Good Lack!」と大差ない内容でした。
吹石・綾瀬のCAはとてもかわいい。それだけは間違いないです。
機上試写をしたようですが、ANA利用時にスピンオフ作品が観られるそうです。DVDのおまけ映像で観られるんでしょうか?レンタルが楽しみです。
ps.「チーパー」って「チーフ・パーサー」のことだったんですね。ひっかかってましたので、すっきりしました。ありがとうございます。
スピンオフが作られたのは知っていましたが、どこで観られるのか謎だったんですが、ANAで観られるんですか。観たいなぁ。レンタルDVDでは特典映像がカットされる場合もあるので購入しないと観られないなんてこと、ないといいなぁ。
ちなみに、グランドスタッフはグランドホステス、略してグラホとも呼ぶそうです。もとグラホの友達に聞いたら、チェックインしたのに搭乗していないお客さんがいた場合、グラホも飛行機に乗って探すこともあるそうで、飛行機に足を乗せただけでCAににらまれると言うことは少ないそうです。時々、グラホが飛行機に乗ることをおもしろく思わないCAもいらっしゃるそうですが、何かあった時にやりにくいと言っていました。