犬と私の10の約束 観てきました
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●ストーリー(ネタバレあり)
函館に暮らす14歳の少女・斉藤あかり(福田麻由子)は大学病院で医師をしている父・祐市(豊川悦司)と母・芙美子(高島礼子)の3人暮らし。
今日はあかりの誕生日。芙美子はごちそうを作り、ケーキを用意して祐市の帰りを待っていた。ケーキに立てるロウソクは祐市の担当だったからだ。しかしこの日緊急オペが入り、帰りが遅くなってしまった。芙美子とあかりは近所のコンビニにロウソクを買いに行くことにした。コンビニの店員(岸部一徳にもおめでとうを言われ、帰って行った。祐市がロウソクを持って帰ってきた頃には、すでにあかりは床についていた。
ある日、あかりは同級生の星進(佐藤祥太)と一緒に帰る途中、散歩中の犬になつかれてしまう。あかりは喜んでその犬を抱きかかえるが、進は後ずさりする。ギタリストを目指す彼は、手を噛まれてはいけないと親に犬に近づかないように言われていたのだ。
その日あかりが家に着くと、鍵は開いているのに誰もいない。不審に思いながらも、庭に干してあった洗濯物を取り込むあかり。そんなあかりの前に現れたのはかわいい子犬。捕まえようと追いかけようとすると、子犬は逃げまどう。
ちょうどその時家の電話が鳴りあかりが急いでとると、それは父・祐市からだった。その内容は・・・。なんと母親が倒れて祐市が務める大学病院に運ばれてきたという内容だった。
いつも明るく、父親と会えない寂しさを紛らわしてくれていた母親が急に入院。心配と寂しさでいっぱいのあかりの前に、この前の子犬が姿を現した。犬嫌いの祐市だが、あかりのさみしさを紛らわしてくれればと、ゴールデンレトリバーの子犬を飼うことを決めた。翌日、あかりと祐市は母親に見せるため、こっそりとその子犬を病院に持ち込んだ。
名前を決めなきゃ。靴下をはいているみたいだから「ソックスは?」そういう芙美子の提案で、その子犬の名前はソックスに決まった。そして芙美子はあかりに、犬を飼う時は10の約束をしなければいけないという。それは
- 私と気長につきあってください。(Give me time to understand what you want of me.)
- 私を信じてください。それだけで私は幸せです。(Place your trust in me. It's crucial to my well-being.)
- 私にも心があることを忘れないでください。(Be aware that however you treat me I'll never forget it.)
- 言うことをきかないときは、理由があります。(Before you scold me for being lazy, ask yourself if something might be bothering me.)
- 私にたくさん話しかけてください。人の言葉は話せないけど、わかっています。(Talk to me sometimes. Even if I don't understand your words, I do understand your voice when it's speaking to me.)
- 私をたたかないで。本気になったら私のほうが勝っちゃうよ。(Remember before you hit me, I have teeth that could hurt you, but that I choose not to bite you.)
- 私が年を取っても、仲良くしてください。(Take care of me when I get old.)
- あなたには学校もあるし友だちもいるよね。でも、私にはあなたしかいません。(You have your work, your entertainment, and your friends. I have only you.)
- 私は10年くらいしか生きられません。だから、できるだけ私と一緒にいてください。(My life is likely to last 10 to 15 years. Any separation from you will be painful for me.)
- 私が死ぬとき、お願いです。そばにいてください。そして、どうか覚えていてください。私がずっとあなたを愛していたことを。(Go with me on difficult journeys. Everything is easier for me if you are there. Remember I love you.)
夏まで入院するという芙美子だったが、思いの外早く退院できた。春先のことだった。芙美子は告知を受けており、夏まで生きられないことを知っていたのだ。そして、あかりに訪れた悲しいわかれ。
あかりはショックのあまり、首が動かなくなってしまう。精神的なものなので名医と謳われている父でも治せない。そんなあかりを癒してくれたのは、進のギターとソックス。そのおかげであかりの首は元に戻った。
ある日、大学病院では、祐市が男手1人であかりを育てていく自信がないと看護師にこぼしていた。看護師は、私も家事のできない父親と兄の3人暮らしですけれど生きてはいますよと、励ましともとれなくもない言葉をかけられる。そんな話をしていると上司から栄転の話が舞い込んだ。助教授として札幌の病院に転勤するのだ。
ところが新しい家が決まるまでは大学の寮に入ることになる。当然ペットは飼えない。それまで進の家で預かってもらうことにした。引っ越しの当日、大好きなソックスとの、そして親友の進との別れに涙を流していた。
悲しいのはあかりだけではなかった。ソックスもあかりと会えない日々が続き元気がなかった。そんなソックスを癒していたのは進のギターだった。あかりの好きな曲を弾いてやるとソックスも心が落ち着いているように見えた。
毎日忙しい祐市は、新しい家を探す暇もない。そうこうしているうちに進は留学が決まった。旅立つその日空港まで見送りに行くと約束したあかり。祐市も休暇を取ってバイクで空港に向かう。ところが病院から急な呼び出しで戻らなくてはいけなくなった。1人タクシーで空港に向かうあかりだが、空港に着いたのはもう進の乗った飛行機は飛び立った後だった。そこには進からの置き手紙があるだけだった。議員と言うだけでこんな簡単な手術のために呼び戻された。そんな病院のあり方に嫌気がさした祐市は、その日のうちに病院を辞めてしまう。そして函館の家を買い戻して、開業医となることにした。
あかりはまた父親とソックスのいる暮らしに戻れ、喜んでいた。それから7年後、22歳になったあかり(田中麗奈)は、子供の頃に旭山動物園の獣医のインタビューをテレビで見たことがきっかけとなり、獣医を目指すために大学の獣医学部に通っていた。
祐市は病院も軌道に乗っており、ソックスは斉藤医院の看板犬として活躍していた。特に”あっちむいてホイ”が強い犬として、近所でも評判だった。
大学の掲示板で、今度ギターの演奏会があることを知った。奏者はなんと星進(加瀬亮)だ。大学の友人・井上ゆうこ(池脇千鶴)に背中を押され、進の楽屋に向かうあかり。久しぶりの再開、懐かしい面影、ちょっと変わった姿にときめき、二人は恋に落ちた。
大人になり、そして恋人ができたあかりにとってソックスはだんだんと疎ましい存在となっていった。東京にレコーディングがあるから一緒に行こうと誘われるが、ソックスの面倒があり二人で出かけることもできない。
卒業式当日、母の形見の袴を着て喜ぶあかりにソックスが抱きついた。せっかくの袴を汚されたあかりはソックスを激怒。
卒業したあかりは、かつてから憧れていた旭山動物園に獣医として就職した。忙しい毎日で、ソックスに会えない日々も続いた。祐市は、ソックスと二人海辺でビールを飲む。昔は俺が家族を置き去りにしていた。今じゃその逆だ。うまく行かないもんだな。なあ、ソックスとぼやいていた。
ある日、進の携帯に電話しても連絡が取れない。進の家に電話しても、母親からは「秘密の特訓をしているから連絡しないで欲しい」と言われる。心配になるあかりだが、偶然祐市から交通事故にあったことを聞かされる。
あかりは進の家を訪ねる。リハビリするように言われるが、昔のように弾けないのは自分が一番知っていると、心を閉ざしている進。1人にしてくれと追い返されてしまう。
あかりはかつてソックスが自分の首を治してくれたことを思い出し、ソックスを昔のように進に預かってもらいたいと進の親(布施明)に申し入れる。ドッグセラピーって言うことかと、父親も快諾してくれる。
ソックスはギターの前に座り込む。進はあかりが好きだった曲を久々に弾き始めた。それを廊下で聞いていたあかりはうれしさで涙を流す。
あかりはソックスを家に連れて帰るが、ソックスが家の段差を上れなくなっているのに気がついた。人生つまづいた時にはいつもソックスが助けてくれた。そうあかりがソックスに抱きつくと、いつしかソックスの体は小さく、そして軽くなっていた。その時頭を横切ったのはかつて母から教えられた10の約束の9番目。「私は10年くらいしか生きられません。だから、できるだけ私と一緒にいてください。」今年はソックスと出会ってから10年目だった。あかりが仕事をしていると父親から電話があった。ソックスが立ち上がれなくなったのだと言う。今日は大事な手術がある日。お父さんだって医者だからわかるでしょ。そういうあかりに、先輩の獣医が今日はもう帰って言いと言ってくれた。急いで帰るあかり。
あかりが家に着くと、もうソックスは目を開けるのもやっとだった。「ソックスに話したいことがまだまだたくさんあるよ。10年なんてまだまだ先だと思っていた。」と泣き叫ぶあかりに、最後の力を振り絞って、手を差し出すソックス。そしてソックスは家族に見守られながら旅立ってしまった。
しばらくして・・・。
斉藤家では、あかりが父・祐市に言う。「花嫁みたいなこと言っていい?今までありがとう。」あかりは祐市、芙美子、そしてソックスに見守られながら、進の元へと嫁いでいった。
●感想、思ったこと(ネタバレあり)
動物と子供の作品にハズレはないと言いますが、意外にこの作品、映画ファンからの評価はあまり良くないようですね。僕的には5点満点なんですけどね~。特に犬を飼っている人からの書込みがあまり良くないようですね。しつけがなってないとか、犬が喜ばないことを平気でさせているとか。
確かに庭に子犬が紛れ込んだ時から、あんなに追いかけたら嫌がるだろ~!って思いました。それに進と親が留学に行っちゃうのにソックスは置いてけぼりってどういうことだよ。もし自力で抜け出せなかったら、もしかしたら餓死してたかも。(うちの犬もしつけがちゃんとできていないのでソックスのことは言えませんが・・・。いや、しつけができていない、できの悪い子ほどかわいいんですけどね。)
でも、最後は、やっぱり泣けちゃうんですよね。前にいた女の子の4人組なんて、本気で泣いてました。もう、このシーンのためにそれまでの長い振りがあったんだなぁと。それだけで見る価値あると思います。そして結婚式。母親の写真、ソックスの写真が出てきて救われるので、悲しみが後に残らないさわやかな雰囲気で幕がおります。
もともと田中麗奈がさわやかな雰囲気でとっても好きなんですが、この映画にホントにマッチしています。
キャストのことを言うと福田麻由子。大きくなりましたね~。一ヶ月ちょっと前にL change the WorLdで見かけたばかりですが、その時はそんな風に見えませんでしたけれど、この作品では成長ぶりがうかがえました。田中麗奈さんも福田麻由子ちゃんも犬を飼っているそうですが、どういう思い出この映画に挑んだんだろう。。。
逆に池脇千鶴は老けた?わざとそういうメイクにしたのかも知れませんけれど、肌が汚くなった印象を持ちました。
子役の佐藤祥太はかわいいかんじだったのに、大人になった進は加瀬亮。なんかイメージ違うなぁ。
布施明。結婚式の賛美歌って参列している人の歌って聞くに堪えないですよね。でも布施明の賛美歌は声量もあってやっぱりうまい。でも賛美歌って上手に歌うと結婚式の雰囲気じゃなくなっちゃうんですね(笑)
そしてコンビニ店員の岸部一徳。この役いらなくない?コンビニ店員の話といい、なんか短い中にいろんなエピソードをたくさん盛り込ませてようとして逆にストーリー展開を悪くしているようにも思えました。その割に大事なところ、例えばあかりがソックスへの愛情を失いかけたきっかけが薄いように思えます。袴を汚されたのと、彼氏ができただけであんなに好きだったソックスに対して自分を犠牲にしてきたなんて言えるかなぁ。心情の変化があまり描写されていないので、不自然に思えてなりません。
もう1つ残念なのが、CGです。進のギターに合わせてしっぽを振るシーンのしっぽはCGですよね。CGにするならもう少しマシにやって欲しいです。良いシーンだからこそがっかりしてしまいました。
それと。。。原作が古いからか、「助教授」って言ってましたよね。今は助教授というポストないですよね。准教授ですから。
なんか、感想があまり良いことが書いていないことに今気がつきましたが、思わず涙を流してしまった良い映画だと思います。
観て良かった度:●●●●● 5点 |
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この記事へのコメント
「いぬのえいが」の「ねえ、マリモ」に似ていました。
「マリと子犬の物語」とどうしても比較しがちですが、フィクションの割りに、話の内容がこなれてないというか、完成度が低くて観ててストレスを感じました。実話を扱った「マリと…」の方が気持ちよく観賞できました。
あかりとソックスの交流や、ソックスの最期はもっと、丁寧に演出して欲しかった。(動物の身体負担を避けるため、「アニマトロニクス」と言う技法を使っての撮影は、凄い技術です。)
成長したあかり(田中麗奈)と父親(豊川悦司)のシーンは某栄養補助食品のCMの番外編にしか見えず、おもしろいやら、がっかりやら。
結婚式、教会で新郎父親役の布施明が賛美歌合唱を凄い声量で歌い上げていたのには苦笑しました。
主役の田中麗奈は「銀色のシーズン」の方が良かったし、その少女時代役の福田麻由子も「L」の方がよかったなあ。
動物達のシーンには満点をあげたいのですが、映画としての満足度はあまり高くは感じませんでした。
前評判はホントに良かったですけどね~。もったいない。
「いぬのえいが」は観たかったんですが観られなかった作品の一つです。「マリと子犬の物語」はとても良かったですよね。ホントに気持ちよく観ることができたと思います。
残念ながら久々にmasyaさんと意見が合わなかったのが、福田麻由子ちゃんかな。僕的にはLよりはこちらの作品の方が良かったと思います。でも、子犬をあんなに追い回しちゃダメですよね。僕の考えでは撮影でない時に遊んでいたからなついちゃって、あそこまで追いやらないと逃げてくれなかったのかなと思います。いや、そう思いたいです。