「陰日向に咲く」 観てきました。
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●ストーリー(ネタバレあり)
フィリピンで発生した大型の台風が日本に向かっている8月。東京では観光バスの運転手シンヤ(岡田准一)はギャンブル癖から抜け出せず、所長にもうギャンブルをしないこと、サラ金から金を借りないこと、毎日家計簿をつけることなどを条件に、50万円を借金していた。倹約の甲斐あって少しお金ができたシンヤは所長に借金の一部を返済しようとした。しかし、所長はまずサラ金に返せと言ってくれた。
家に帰る途中、パチンコ屋の前でたたずむシンヤ。パチンコの音がシンヤを呼んでいる。ダメとわかっていても我慢できないシンヤはパチンコ屋に入ってしまう。今日は確変に続く確変。どんどん箱が溜まっていく。もうちょっと、もうちょっと、そうこうしているうちにみるみる玉は減っていき、結局返済する予定だったお金を全額すってしまった。
帰りにサラ金に寄るシンヤだが、ブラックリストに載っている彼は借金を断られてしまう。とぼとぼと足取りの重いシンヤはストリップ劇場の前に一人の女性が劇場に入るか躊躇している場面に遭遇した。彼女は昼間、100円玉とお守りを落とし、シンヤが拾ってあげた女性だった。彼女の名前は寿子(宮崎あおい)。二人は劇場に入っていった。
寿子の話によると、母親の鳴子(宮崎あおい)が以前この劇場で漫才をやっていたことがあり、その頃の相方・雷太(伊藤淳史)を探しているというのだ。シンヤは雷太を探す手伝いをすると約束し、わかれた。
家に帰ると借金取りが待ち伏せしていた。親に肩代わりしてもらえと脅され、さらに手を怪我させられてしまう。シンヤは父親と母親の死を境に絶交しており、親に頼めないでいた。
サラリーマンのリュウタロウ(三浦友和)はある朝、ホームレス(西田敏行)を見た。彼が立つと通勤途中のサラリーマン達は彼を避けて通ろうとする。その光景がまるで、モーゼのようだった。リュウタロウは長期休みを取り、ホームレスとなってモーゼの仲間となった。秋葉原では25歳の売れない崖っぷちアイドル・みゃーこ(平山あや)のイベントがあった。広い会場に集まったのはアキバ系アイドルオタクのゆうすけ(塚本高史)と友人の3人だけ。
幕はが開け、みゃーこが会場を見ると、さすがのみゃーこも凹んでしまう。ゆうすけはとっさに携帯電話を取りだし、友達から電話がかかってきたふりをする。「おい、もう始まってるぞ!えっ?電車が止まって来られない?そうかぁ、それでこんなに人が少ないんだ~。」なんとかみゃーこに元気を出してもらおうと頑張るゆうすけ。
そんなゆうすけにもリアルな女子への初恋はあった。小学生の頃、落とした消しゴムを拾って、笑顔で渡してくれた女の子。まぶしい笑顔を目の当たりにすると何も言えなくなる。「ありがとう」その一言を言いたくて、言いたくて。しかし言えないまま、彼女は転校してしまった。
そんな話をしていると友達が驚きの声を上げた。みゃーこがゴールデンタイムのテレビ番組に出演するというのだ。初めてのことだ!3人はテレビの前に釘付け。しかしその役とは、ドロドロ血液のドロ子。サラサラ血液のサラ子にはバカにされ、泥にまみれてはいつくばっている役。さらにケーキを投げつけられる役。3人は落ち込んでしまう。しかしゆうすけは立ち上がり、番組のホームページにアクセス。ドロ子を絶賛する書込をたくさんする。
翌日も借金取りが待ち伏せしていた。シンヤは彼らに脅され、オレオレ詐欺をするように言われる。公衆電話に向かった彼は言われた電話番号に電話するが、警察に電話するぞ!と脅され立ち去ってしまう。謝ろうともう一度電話をすることにする。公衆電話に戻ってきてリダイヤルボタンを押すと、前にモーゼがかけた電話へと繋がってしまう。
「俺、俺・・・。」「健一?健一なの?」そう答える電話の向こうの女性は元気がない。「そうだよ。金が必要なんだ。」しかしシンヤはこの女性に自分の母親を重ね、その後も何度も電話してしまう。
「明日、花火だね。行きたいわ。」「俺は仕事で行けないけど、後輩に連れて行ってやるように頼むから。」「楽しみだわ。」しかし待ち合わせの時間になっても彼女は現れない。心配で電話すると、彼女は病気だが病院に行く金がないという。シンヤは金は何とかするから病院へ行けと言う。シンヤは父親に電話するが、父親は電話に出なかった。
シンヤは父親の家に向かった。しかし家族の写真がゴミ箱に捨てられていた。それを見たシンヤはショックを受け、またパチンコに向かってしまう。ところがその姿を所長に見つかってしまう。所長は激怒し、シンヤを事務所に連れて行った。おまえに貸した金は私が出した物ではない。ここにいるみんなが出し合ってくれたものなんだ。と激怒する。シンヤはことの重大さに気がついた。落ち込むシンヤにバスガイドが借金相談のパンフレットを差し出した。シンヤは相談に向かうと、出てきた弁護士はなんと寿子だった。シンヤはあわてて相談所を飛び出してしまう。
ゆうすけのパソコンに1通のメールが届いた。なんとみゃーこだった。いつも応援ありがとうというメッセージ続き、もし違っていたらごめんなさい。むかし一緒に学校だったゆうすけ君じゃない?今度一緒に食事をしたいですという内容。今も昔も、ゆうすけにとってのマドンナはみゃーこだけだった。公園に探偵が現れた。この公園のホームレスの中に野球選手・川島の父親がおり、その人を捜しているというのだ。なんとモーゼのテントから川島の新聞のスクラップが発見された。川島本人が父親を迎えに来た。「俺は家族を捨てた。今さらどんな面で戻るんだ。俺が温かい思いをしちゃダメなんだ。冷たいここが似合っている。」と言うモーゼに、「俺はあんたを許しちゃいない。だが許す努力はする。母親が愛した人だから。」川島はそう言う。その言葉を聞くとモーゼは川島と一緒に去っていった。
モーゼが使っていたテントをリュウタロウが使っていると、見知らぬホームレスが入ってきた。彼がこの点とのホントの住人。川島のスクラップも彼のもの。モーゼは川島の父親ではなかったのだ。台風のこの日、居場所を失ったリュウタロウは家へと帰る。
シンヤがまた彼女に電話をすると、見知らぬ女性が出た。アパートの大家だというその女性は、ここに住んでいた女性は夕べ救急車で運ばれて死んだよと教えてくれた。場所を聞き出したシンヤは急いで向かう。
同じ頃、劇場の館長だった男から寿子に電話があった。雷太が好きだったストリッパーのジュピター(緒川たまき)の居場所がわかったというのだ。寿子は急いでジュピターの元に向かう。
シンヤがアパートにつくと一人の男性がいた。彼はモーゼだ。シンヤはその男性の過去を聞いた。むかし芸人を目指していたことを。芸人になることが夢なのではなく、芸人であれば好きだったジュピターと一緒にいられたから。そして ジュピターと一緒になったこと、そしてホームレスになったこと。
寿子の話によると、鳴子も同じだという。鳴子の夢は芸人になることじゃなかった。鳴子は雷太のことが好きだった。だからこそ雷太の夢が叶うように一生懸命自分も頑張ったというのだ。泣き崩れる雷太。
シンヤは「健一へ」と記された手紙と、千円札や小銭ばかりで50万円貯めた箱を用意してくれていた。シンヤが手紙を見ると、そこには健一は2歳で他界していたこと、別人とわかっていながらシンヤを実の息子のように思っていたことなどが綴られていた。
そしてシンヤは家に戻る。父親とわかり合うために。
●感想、思ったこと(ネタバレあり)
最初この作品はパスしようと思っていました。もともとお笑い系はあまり好きではない(といってもエンタはたまに見ますが。)のですが、毎週欠かさず見ているテレビ番組やぐちひとり(C)に劇団ひとりが出ていて、毎週おもしろいので劇団ひとりもお笑いの中では好きな部類の人です。まあ、そんなわけで、観てもいいかなぁとは思っていたのですが、ブログ仲間のBIGLOBE平主任ブログさんが絶賛していたので、これは観なければと思い、観に行ってきました。
すべてのピースが重なり合うとか、予備知識はまったくなかったのですが、劇団ひとりの性格からすると、このピースはすべて重なるんだろうなぁと予想でき、そうなるとかなり早い段階から人間関係がわかってしまいます。みゃーこ系とシンヤ系のストーリーがどうくっつくのかがわからなかったけど、結局最後までつながらなかった。。。それでもなかなか感動する作品でした。
まあ、ご都合よろしすぎなのは大目に見るとして、陰にいる頃からみんな明るいのが気になるし、ジュピターの遺体目の前にして鳴子探しに出ていく雷太は、あまりにもひどくない?
感動が絶頂に達した時(?)、最後の最後でお笑いのシーン。古典的なネタですが意表のついたところで出てくるので、隣で観ていた人は、声を上げて爆笑してました。お笑い芸人ってもともと頭が良いなあと思っていたのですが(頭よくない芸人さんはすぐ消えて行ってしまう?!)、やっぱり劇団ひとりって、頭いいよなぁ。お笑いだけでなくこんな小説も書けるんだから。ますますファンになってしまいます。ちょっと粗々しさが感じられましたが、今後も小説の執筆もやって欲しいと思います。
ちょっと人間関係に疲れている時に見ると元気もらえるかもね。
しかし、方言丸出しの田舎娘役の宮崎あおいもかわいいなぁ~。でも、あんなにごちゃごちゃ言われていたら、雷太のイヤになる気持ちもわかるなぁ~。
観て良かった度:●●●●○ |
- 陰日向に咲く公式サイト
- みゃーこの公式ブログふりむキッス
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- 劇団ひとり
- 陰日向に咲く(原作本)
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- 陰日向に咲く オリジナル・サウンドトラック
- 陰日向に咲くオフィシャルフォトブック
- テーマソング出会いのかけら(MAXI SINGLE)(ケツメイシ)
- 平川雄一朗監督
- 岡田准一
- 宮崎あおい
- 伊藤淳史
- 平山あや
- 塚本高史
- 緒川たまき
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この記事へのコメント
原作は、もっと味わいがある、と聞きました。そのうち、原作を手にとってみたいと思っています。笑いとペーソス、ベタではありましたが、よく盛り込まれていましたね。
原作も良いらしいですよね。あの劇団ひとりが、こんな物語を書くなんて・・・。ベタな部分や無理がある部分もも確かにありますが、充分楽しめる良い作品でした。
TBありがとうございます。
私は劇団ひとりってあまり好きでなかったんですが、
原作読んでこんなに素敵な小説を書くんだなって思うと
イメージが変わりました。
ストーリーは本当によくできたものですね。
いつもバカばっかりやっているお笑い芸人がこうした小説を書けるのは、本当に極限られた人ですよね。そう言った意味でも劇団ひとりはすごい芸人だと思います。
ホームレスになりたがる男の話も、
アイドルを応援するオタクの話も総て不可欠で、作品を盛り上げるセグメントとしてとても有効だと思いました。「アキバおたく」のエピソードが蛇足だという映画評が多いのですが、そんな事は無いと、私は感じてます。
伊藤淳史の売れないコメディアンや塚本高史のオタクに、彼らが過去に演じてきたキャラを被せてみたり、作品の脇を演じていた生田智子や根岸季衣を見つけては面白がってました。「中山ゴンの嫁さんが出てる」とか「根岸季衣の脇役キャラは、いい雰囲気だな」と思いを廻らせ楽しみました。
人が人の為につく嘘。そして、報われない思いやりや優しさ。大切な人との「死」という別れ。親子の絆。言葉で説明しなくても理解できる愛情が、この映画には満ちています。
正直、泣けます。普通の人なんだけど善人でもない、自分の人生とは別世界のストーリーなのに自分の事の様に悲しみや寂しさが襲ってきました。
ジンときたのは、会社の同僚の子がシンヤに借金相談のパンフを差し出すシーンかな。
うん。うまく言えないけど僕もやっぱりアイドルのエピソードは不可欠だと思います。
いい話だったんですが、僕はジュピターの遺体が目の前にありながら鳴子がいると聞いて飛び出す雷太で、すべてが台無しになってしまったと思います。あれがなければ5点満点をつけていたんですが、残念だったです。