ブックレビュー:山本文緒さんの「絶対泣かない」
この本、初版が出たのは1998年11月。約9年前。単行本が出版されたのは1995年5月。もう12年も前の本なんです。そんなに古い本に挑戦したのはなぜか?男子禁制フリーペーパーのL25では毎週何冊かの本を紹介しているのですが、そこでこの本が紹介されていたんです。(記事はこちら。)友人にこの本を見せたところ、読んだことがあるそうです。なんでも弟が山本文緒さんのファンらしく、山本文緒さんの本は一通り読んでいるらしい。と言うことで、男子禁制のL25で紹介された本ですが、男の僕が読んでもとりあえずよさそう。 この本は、15+1の職業の女性が主人公の短編集。フラワーデザイナー、体育教師、漫画家、主婦、女優、看護婦、銀行員、秘書、養護教諭、そして+1は手相見。彼女たちは、それぞれの悩みを抱えている。人間関係だったり、仕事だったり、今の仕事を親に反対されたり。。。 彼女たちの反応も様々。正直言うと面白いと思ったところは、L25の書評に書かれているんですよね。酒屋の店主に冷たくあしらわれるワインメーカーの営業部員、ローカルテレビ局のディレクターにいびられるタイムキーパー。彼女たちが自分の力で解決策を見つけていく力強さには、男でもきっと勇気づけられる。 他にも、ナンパしてきた男にあたってしまう看護婦、元恋人の冗談とからかいに救われる銀行員、転職雑誌を買おうか迷う派遣社員。。。 必ずしも自分の力で解決していける人だけではない。でも、それなりにみんな頑張って生きているんだ。強くなくても勇気と元気を与えてくれる本だと思います。 そして最後の+1の手相見(山本文緒さんが書いたのではなく、山本文緒さんがお世話になったことのある手相見さんが執筆したエピソード)もおもしろい。正直言うと、この手相見のエピソードが一番好きなんですが。 「我慢するって言うのはどこか臭いものに蓋をする的なところがあって・・・中略・・・時々は心のふたをぱかっと開けて、大泣きパワーで洗い流そうとしてみるのもいい。」 最近、仕事が変わって、年齢的に後輩の方が仕事が効率的にしているし、後輩に教えてもらうことも多々ある。それだけならば仕事が変わったばっかり何だからしょうがない、頑張らなきゃ。って思うだけだけど、一度教えてもらったはずなのにできなかったり、もう少し考えればバグを出さなくてすんだはずなのに。。。そんな時は悔しくなる。でも男の人でもちょっとくらい、家に帰って心を洗い流すことがあってもいいのかなぁって。そして次の日にはまた心機一転できればいいな。 後書きには「どうか、あなたがあなたの仕事を好きになれますように。」と締めくくられている。今の仕事は異動したばかりで好きです。でも仕事に、人間関係にちょっと疲れを感じている人には、きっと勇気づけられることばじゃなでしょうか。 |
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