ブックレビュー:聴診器ブック



 今まで本はあまり読まなかったのですが、2007年は結構本を読んだなぁ~。実はプラナリアという本を読もうとしていたのですが、まだちょっとしか読んでいないうちに飛行機に忘れてきてしまいました。大分に行く飛行機に忘れ、帰りの東京行きの飛行機で客室乗務員に聞いたら、大分空港に電話してみてくださいと言われました。中古で50円で買った本なので、東京から大分空港まで電話したら、電話代だけで本題を上回ってしまう。そんなわけであきらめて・・・、次に読んだ本は聴診器ブックという本。
 この本、本物の聴診器がついているんです。「本物の」というのは「医療器として認可を受けている」という意味。つまり医者や看護師が使っている聴診器が付属しているんです。(現役の医者や看護師がこんな安い聴診器を使っているのかはわかりませんが。)
 そして本は80ページ強の解説書になっています。聴診器を使う上での注意点や原理、心音・呼吸音・お腹の音の聞き分け方だけでなく、メカニズムについても解説している本です。図を多用し、難しい言葉を極力避けており、誰でもわかりやすい解説になっています。
 この本、2007年3月に発売されて以来品切れが続き、一時期はオークションで中古でも1万円以上の値段がついたほどです。今回11月に購入した時はすでに7刷でした。
 僕が聴診器を使ったのは3回目。1回目は別にお医者さんごっこしていた時ではなく、入院していた時に看護師さんに頼んで自分の音を聞かせてもらった時です。「どう?聞こえた?自分の心臓の音を聞くってなんか変な感じだよね。」と言われた。「変な感じだよね?」って同意を求めると言うことは、きっとこの人も看護学校あるいは看護師になってからか、自分で自分の心音を聞いたに違いない。ちなみに、実はその時は聞こえなかったんですが、そんなことにあまり時間をとらせては申し訳ないと、「そうですね~」と適当に相づちをうったんです。
 2回目は、油汚染水鳥救護講習会に参加した時(記事はこちら。)です。人間の音ではなく、水鳥の心音を聞きました。

 だいぶ本題からそれましたが。家に体温計、体重計は多くの家庭にあると思います。血圧計がある家も増えていると思います。でも聴診器を持っている家庭は少ないでしょう。歯科医以外、医者と看護師のほとんどが持っているということは身体の異常を知るのにとても有益だと言うこと。熱が出て病院に行くとまず体温を測り、聴診器で胸の音(呼吸音)を聞きますよね。医者にとっては体温計と同じくらい(それ以上)重要な存在なはずなんです。
 でもそれが一般に浸透していないのは、聞いてもわからないから。体温なら自分の平熱を知っていてそれよりも高かったり低かったりしたら以上だとすぐわかる。はかり方も難しくない。体重計も同じように自分の体重を知っていてそこから急に変わったら異常じゃないかと思う。血圧計もそう。標準の血圧がわかっていて、自分の普段の血圧も知っているから、それらと比べて高かったり低かったりしたら異常だと思う。
 でも聴診器は上述したものと違って、数値で出てこない。あくまでも音なんです。いろいろな音を聞いて、どんな音だとどんな症状が出て、どんな病気なのか経験を積んだ医者や看護師なら、聴診器の音を聞いて異常かどうかわかるけど、素人はその経験がないから一般的に使われていないんですね。
 でも逆に言えば体調の良い時から聴診器を使っていれば、いざ体調に変化がある時に異常にすぐに気がつけるんですよね。
 体調が悪いのは、体調が良い時とは体が違うから。自分なら体調が良い時の状態を知ることができる。だから良い時と体調悪い時とどう違うかを知ることができる。でも医者は悪い時にしか症状を見ないから、場合によっては医者よりも自分の方が体長の変化を知ることができるんです。
 だから聴診器は悪いところを見つけるのではなく、いつもと違うところを見つけるという意味で個人でも持っていた方が良いんですね。

 付属している解説は、上でも書いたように、体のメカニズムだけでなく、心音や呼吸音、お腹の音など、どういうところを注意して聞けばいいのかまで書かれています。本を片手に自分の心音を聞いてみると・・・。なるほどかなり小さい音なのね。初めての人がうるさい病室で機構としてもなかなか聞こえないわけだ。続いて呼吸音。聞こえない。。。聞こえないってことはきっと正常と言うことだろう。

 ちなみにうちの犬の呼吸音も聞いてみましたが、いやがってまともに聞けなかった。。。うちの犬は気管支が弱いのでこまめにチェックしてあげたいんだけどなぁ。(もともとこの本というか聴診器を買った理由も犬のためなんですけどね。決して大人のお医者さんごっこのためではありません。)

 しかし、今まで個人向けの商品が出ていなかったのは確かに盲点。今まで専門家専用だったものを扱っている会社はこういうところに着眼すると今までになかった市場を開拓できるかも知れませんね~。

 というわけで、一家に1本いかがですか?

2007/12/30 追記
 現役看護師さんに聴診器の値段の差についてインタビューしてみました。

 高い奴は構造上使いやすいように工夫されている。
 音は、高いものの方が響きが安定しているので、服の音などのノイズ混じりの中から自分の聞きたい音を聞きやすい。
 特に小児用はダイアフラム(ペタって当てられる部分)が小さめなので音が小さくなりがち(ダイアフラムの振動をイヤホンの小さな穴から出すので音が拡大される。つまりダイアフラムの直径が4cmでイヤホンの穴の直径が3mmだと、402÷32÷2≒89倍に音が大きくなる。)なので、高いものの方が良い。
 ただし、知識と経験が浅い人には、良いものを持っていてもわからない。

聴診器はもちろん病院にも常備しているけれど、自分専用を持っている人も多く、今回話を聞いた看護師さんも自分のを持っているそうです。昔は千数百円のを使っていたけど、転勤をきっかけに1万ちょっとのに買い換えたそうです。医者はだいたいの人が自分専用で、さすがに安いのは使っていないそうです。

 聴診器の値段と聞きやすさに比較をしているサイトもありました。もちろん個人差や用途差もあるでしょうが、高いものの方が総合的に使いやすそうです。特に安いものは心音、呼吸音には不向きだそうです。また安いものを中程度のものに買い換える効果は大きいが、中程度のものを高級なものにする費用対効果はそれほど大きいものではないそうです。
 みなさんもこの本についている聴診器を使いこなすようになれたら、1万円程度の聴診器にレベルアップするのも良いかもしれませんね。

読んで良かった度:●●●●○












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  • 聴診器ブックなるものが売れているらしい

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