社会科見学 清掃工場 に行ってきました。



 清掃工場、いわゆるゴミ焼却施設の見学に行ってきました。なんでそんな・・・?ってみんなに言われたのですが。
 ローカルな話になっちゃいますが、東京都のゴミの分別方法が来年4月から変わります。一部の区ではすでに10月から変わっているところもあるようです。具体的には今まで不燃ゴミだったビニールやプラスティック類が可燃ゴミになったんです。理由は埋め立て地(最終処分場)がもうすぐいっぱいになっちゃうから。平成25年までにいっぱいになってしまうそうです。今埋め立てている最終処分場は中央防波堤外側埋立処分場・新海面処分場というところで、ここがいっぱいになると東京港は埋め立てられる場所がなくなってしまうそうです。
 でも、今まで不燃ゴミだった物が可燃ゴミにかわるって、大変なことです。まず、清掃工場のキャパシティが足りるのか?紙や生ゴミ、木など、今まで可燃ゴミだった物よりも、プラスティック類は燃焼する時の温度が高くなるので焼却炉が痛みやすくなると言う問題もあります。
 というか、その前にゴミの処理ってどういう風に行われているのか知ってます?燃やして埋め立てるんでしょ。って思っていたけど、違うんですね~。


 まず調べてみると清掃工場って、月に1度のペースで見学会を開いているそうなんです。日程はこちらから確認できます。予約が必要で、2日前の午前3時までに電話で連絡するらしいですが、それをすぎても大丈夫っぽいです。今回参加した人全員が期限を過ぎてからの連絡だったそうです。僕を含めてです。(^^ゞ
 ちなみに参加されたのは家族が2組と僕が1人。学校単位で見学される場合は小学4年生らしいですが、今回のお子さんは3年生。偶然同じ学校の子だったらしいです。

 時間になると担当の方のガイダンスのあと30分弱のビデオです。ビデオは2種類あって、子供向けと大人向け。今回はお子さんがいたこともあって子供向けをチョイス。ゴミ問題についてビデオと、ゴミ処理の流れのビデオ等でした。


 ここの清掃工場は平成15年に稼働し、処理能力は150t×2機/日だそうです。煙突の高さは98m。地上8階、地下1階の施設で、従業員は50人強。広大な施設なのにたったそれだけしか働いていないんだ。
 この工場の特徴は都内で唯一回転ストーカ炉を用いているそうなんです。僕が小学生(たぶん5年生だったと思う)の時に見学した清掃工場では階段状の炉をゴミが転がって落ちながら燃えていく感じでした。回転ストーカ炉と言うのは、無数のパイプがトンネルのように組み合わされていて、その中をゴミが転がっていく感じで、そのトンネルが回転することでゴミが均一に燃えていくのだそうです。パイプとパイプの隙間から空気を送って、パイプの中には水が通っておりその熱でタービンを回して工場で使われる電気を発電しているそうです。(特開昭62-24734)発電量は約5MW。余った電力は電力会社に売電しているそうです。ちなみに売却益は4,000~5,000万円/年だそうですが、都内最大の新江東清掃工場では年間10億円程度の電力を売電しているそうです。
 ボイラーの熱は所内の暖房に使ったり、近隣の温水プールやシャワーなどに使っているそうです。


 そして灰溶融炉を持っていることも特徴の1つ。回転ストーカ炉では800℃以上で燃やしていますが灰が残ってしまいます。この灰は元のゴミの体積の約20/1になるそうです。これを都市ガスを利用した灰溶融炉で1200℃で加熱すると灰が溶けるんです。これを液体になった灰を水に垂らすと急激に冷やされて砂状になるのです。これをスラグ(人工砂)と言うらしいのですが、スラグになるとさらに体積が半分になるそうです。
 これまで下水などの配管を地下に埋設する時、山などからとってきた天然の砂を埋め戻し材として使っていたのですが、最近ではこのスラグを使うことで、山の保護、輸送コストなどを削減しているらしいです。他にもアスファルトや歩道に使われるブロック(インターロッキングブロック)、OA床材(床下に配線をするために上げ底にする床)などにスラグを混ぜることによって、天然資源を削減しているそうです。


 ビデオと説明が終わると、いよいよ所内を案内されました。
 まずは、分析室。水などの分析を行っているそうですが、排気の例えばダイオキシン濃度やスラグ内の有害物質の分析などは外部に委託するそうで、簡単なものしかありませんでした。この程度なら僕でもできそう。。。


 監視室。常時3人で、昼、夜2交代制で24時間監視しているそうです。


 屋上には風力発電と、太陽光発電もありました。
 風力発電は月に10KW/月程度、太陽光発電は確か8月で1600kW/月だったかな。ちょっと記憶が曖昧。
 焼却炉の発電が常時5MWですから、おまけにもならない程度。こういう事もやってますよ程度のものだと言っていました。10kWじゃ、電気代200円ですからね。
 ちなみに太陽光発電は三洋製だそうです。


 ここがゴミ収集車が集めてきたゴミをためておくところ。


 溜まったゴミをクレーンでゴミホッパと呼ばれる焼却炉への入り口部分に入れるところ。1回でゴミ収集車1台分のゴミ(1~2t)をつかめるそうです。ゴミが均一になるように、時々このクレーンでゴミをかき混ぜているそうです。まさにUFOキャッチャーです。
 ちなみに、すべてのゴミを残らず掴めるわけではないので、下の方には操業開始時(平成15年)の生ゴミが残っているそうです。中には入れませんので、わかりませんが臭そうですよね。
 焼却炉に送る空気は外の空気を使うのではなく、この部屋の空気を焼却炉に入れるなど、少しでも臭さくないような工夫をしているそうです。また、収集車が入る入り口にもエアーカーテンを設けて外に臭いが出ないようにしているそうです。確かに今回の見学で臭いなあと思った場所は全然ありませんでした。
 もちろん煙突から出る排気も、集塵装置、活性炭、洗浄機などできれいにしているので、確かに見た目は稼働しているのかしていないのかもわからないほどきれいですよね。


 結局知りたかった分別方法が変わって可燃ゴミの量が増えたこと、質が変わったことでどうなったかのことは質問してもわからずじまい。発熱量は冷却水の量などで調整するのかな。排気ガスに含まれる有毒ガスも増えるだろうから、おそらくそれを処理するための薬剤の使用量が増えるのだろう。毎年1回発行される環境報告書をみてみよう。。。

 見学に行く前からゴミの焼却熱で発電していることは知っていましたが、意外にもその発電量が少ないことにびっくり。東京電力の川崎火力発電所の出力は2号機ありますが1号機の発電量は1500MW。一方今回見学に行った清掃工場の発電量は5MW。300倍。プラスティックも可燃ゴミになることを知った時は、火力発電で石油などの化石燃料を燃やすのであれば、化石燃料から作られたプラスティックを燃やして発電することで火力発電所の依存率を少なくでき、二酸化炭素排出量は変わらずに化石燃料の使用を削減できるかなと思ったのですが、そんなうまくはいかないようです。今さらという感じもしますが、やはりゴミを出さないように、するしかないんですね。

 ところで、何で清掃工場っていうんでしょうかね?工場というと何かを生産しているようなイメージがありません?どちらかというとゴミ処理場いう感じがするのですが。。。質問したけど、わからないそうです。残念。









この記事へのコメント

nana
2007年11月26日 22:12
よしなさん今晩は、清掃工場は昔は煙を吐き出して工場のように見えましたからね。ビニールと呼ぶ布ですと見せられたのが60年ぐらい前。あれから公害が始りました。腐らない溶けない燃やすと有毒な煙になる。よく落ちる石鹸が川や海を汚し、鯔なんか石鹸のような身体になったのがいますよ。カビがよく落ち綺麗になったお風呂の先に汚い川と海とそこに生活している生物が汚れていることは知らん顔。
 カビや汚れを落とすことは、人間の身体の中の微生物もよく殺してくれるでしょうね、怖い怖いお話です。
 清掃工場とは空気汚染物質製造工場か。言いすぎですか。
2007年11月27日 01:20
nanaさん、こんばんは。
確かに化学物質はいろいろな公害を引き起こしてきましたが、その分みんなが恩恵を受けてきたのも事実ですし、解決できるのも化学です。一概に化学が悪者なのではなく、うまく制御できない人間の無知や利益を優先させる人間が悪なんですね。
今の清掃工場はホントに進化していて排出するガスはかなりきれいだと思います。今まで大気に放出していた有毒物質は排気する前にトラップしているからです。そうやって改善してきたのも化学や科学技術ですからね。
nana
2007年11月29日 12:01
よしなさんのお言葉のとうり制御できない人間がいけませんね。nanaなんか口で批判しながら一番恩恵をうけその中に浸りきっていいた者です。先日ノーベル賞ものだと言われる論文が発表されましたが人間は何を目指して進歩(変化?)していくのでしょうか、釣ばかにはよく分かりませんが。
2007年11月30日 00:10
nanaさん、こんばんは。
>人間は何を目指して進歩していくのでしょうか
未来技術年表(http://jvsc.jst.go.jp/shiryo/yosoku/index.htm)を見てみてください。
仕事で特許を書いたりするのですが、10年後に使われている技術を発明しなさいとよく言われます。10年後と言われてもねぇ~。

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