ブックレビュー:目からウロコのコーチング



 かなり前(2年くらい前)に買った本なのですが、ず~~~っと本棚にしまってあった本を読むことにしました。目からウロコのコーチング―なぜ、あの人には部下がついてくるのか? です。昇進試験の時に「後輩育成」というのもあって、それで会話術を学ぼうかなと買った本ですが、その当時は全然読んでいませんでした。実際に昇進したこともあり、棚から引っ張り出してきて読み始めました。

 買った当時はそれほどまだ「コーチング」というビジネススキルは有名ではありませんでしたが、Amazonで「コーチング」で検索すると389件も引っかかってくるほど、有名になりましたね。この本も2004年6月に出版され、僕が買った2005年には8刷、今は16刷まで増刷され、コンビニでも売っているほどの人気です。

 ある目標に対して、上司などが「ああしろ」「こうしなさい」と指示するのがティーチング、それに対してコーチングとは指示ではなくサポートすること、つまり「答えはあなたの中にある」というスタンスで、その答えをいかに導きだすかをサポートするスキルだそうです。コーチは聴いて、受け入れて、質問して、気づかせるのだそうです。
 小学生の頃、親に「宿題しなさい!」と言われると「今やろうと思ったのに!」と余計に気が重くなったことがあると思います。人は人から命令されたことにはリアクタンスと言って軽やかに動けない。下手したらやる気0%どころかマイナスにもなってしまいます。でも自らが導き出した答えに対しては、自発的に行動することとなり、軽やかに動けるのだそうです。
 上司から見ると部下が出した答えは完璧の50%程度の完成度しかなくても、それを100%と見なすのだそうです。上司が目標達成度100%の指示を出しても、それを部下がこなすとモチベーションの問題、意思疎通の問題などから実際に達成できるのは、せいぜい20~30%程度、それに対して自ら出した答えは、熱意を持って取り組むことができ、結果的に上司からの命令よりも達成率が高い場合が多いのだそうです。

 命令するティーチングは、目の前の課題をこなすためには良い方法だが、長期的に部下を育成することはできない。何か課題にぶつかると誰かの指示がなくては動けなくなるから。一方コーチングは目の前の課題に対して上司は答えを持っていても、部下にそれを気づかせなくてはいけないため、目の前の課題を解決するのには時間がかかる。しかし自分で考えることができるようになるため、長期的に育成が可能だという。

 コーチングの難しさは、相手が出した答えが到底完璧でなくてもそれを受け入れること、成果が出るようになるまで時間がかかるので、それを許容することにあると思う。

 他のコーチングの本を読んでいないのでわかりませんが、この本はそういった難しい部分をも具体的に書いてあり、ビジネススキルの本と、研修実際に受けているような感じの本です。ですからコーチングの1冊目の本としてもとてもわかりやすいと思います。

 本の構成としては、
1. コーチングとは何か
2. 部下をのばすコーチング
3. 聴くことと受け入れること
4. 承認(褒めることと叱ること)
5. Iメッセージの力
6. 聴くことと信じる能力
7. コミュニケーションから生まれるエネルギー
8. ページングはコミュニケーションの入り口
9. コーチングを妨げているもの
10. 達成目標のビジュアライズ
11. 質問をクリエイトする
12. コーチングにおけるアドバイス
13. エネルギーロスを自覚する
14. コーチングのストラクチャ
15. 相手を人生の主人公にする
です。(目次より抜粋)

 ビジネススキルはコミュニケーションを題材にしたものだけでもたくさんあります。コーチングも1つの手法で、すべてではないので、コーチングだけでコミュニケーションが成り立つものではありません。でも知っていると役に立ちそうなスキルだと思います。オススメの1冊です。

 一つだけ気になるのは、○○ページ参照と先のページを参照させるのが多いこと。僕の中では「○○ページ参照」というのは思い出すために過去に用いる用法だと思っています。まだ読んでいない未来を参照させるって、どっちを先に読めばいいの?って気がするし、実際に読み進めていって○○ページにたどり着いたときには、どこで参照されていたのかわからなくなっているし。。。それ以外は読みやすい文章で、難しい表記もなく、普段本を読まない僕でも取っつきやすい本です。


p.s.
 早速実践しようと思いましたが、僕異動することになったんです。数ヶ月前に中途で入社して僕の下についてくれた人には、短い時間でいろいろなことを伝える必要があったため、コーチングは不適でした。一緒のグループではないですが、同じ課の後輩に実践しようとしましたが、なかなか相手の出した答えを100%として承認することができずに、こちらにストレスが溜まりまくってしまいました。まだまだ、相手の中にある答えを導き出してあげられないんだなぁと・・・。本を読んだ直後は僕にもできそうな感じがしたのですが、なかなか難しいです。
 新しい部署では、今の仕事と全く畑違いなので、コーチングをするよりはまずはティーチングされてある程度仕事を覚えなくては。。。実践できるのはまだ先になりそうです。

 ちなみにビジネススキルですが、ビジネスだけに使用できるものではなく、一般的な会話にも応用ができそうです。この本の著者播摩早苗さんもコーチングを応用したコミュニケーションとしてモテる男の会話術なんて本も書かれています。

読んで良かった度:●●●●●











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