ブックレビュー:アイデアのつくり方



 一応僕の職業は技術者と言うことになっています。営業の人にノルマがあるように、僕らにもノルマがあります。研究成果などもそうなんですが、毎年困っているのが特許のノルマ。年間○件発明をするというのがノルマなんです。ドクター中松じゃあるまいしそんなに発明のアイデアなんかポンポン出てこないって。。。

 と言うわけでこんな本を買ってみました。アイデアのつくり方です。
 この本、本文はなんと58ページしかないんです。解説や訳者後書き、目次、著者経歴などを入れても102ページ。帯には「60分で読めるけれど一生あなたを話さない本」と書いてあります。
 さらに日本で初版が発売されたのが1988年。僕が買ったのは初版54刷。それだけロングセラーだと言うこと。期待が持てる本です。


 アイデアってどんな職業でも必要だと思うんですよね。僕の場合は発明のアイデアですが、著者のジェームス W.ヤング氏は広告代理店のコピーライター。コピーライターのアイデアでお客は振り向き商品を購入したりサービスを受けたりするわけですから。もののけ姫の「生きろ」というコピーを考えた糸井重里さんは、コピーを考えても考えてもプロデューサーの鈴木敏夫氏に何度も突っ返され「自分はもののけノイローゼ」だと語っていたほどです。営業にしたっていかにお客さんに興味を持ってもらえるか、主婦にしたっていろいろアイデアを出すシチュエーションあると思います。

 この本を一言で要約すると「アイデアは新しい組み合わせである」と言うことです。個々の要素は新しいものではないけれど、その組み合わせは今までなかったようなものです。
 組み合わせるためにはお互いのことを知っておく必要がある。そして一見関係ないような事柄でも共通点を見つけて組み合わせることが重要で、そのためには

  1. 資料集め
  2. データの咀嚼(そしゃく)
  3. 一旦放棄し、他の刺激を求める
  4. 常にそれを考える
  5. アイデアのチェック

を行う。そしてこの順番を抜かしたり入れ替えたりせず、糸井氏のようにノイローゼになるほど1つ1つのプロセスを入念に行うことが大事だと言うことを例や解説を織り交ぜて述べています。
 著者もこの公式を述べるのは簡単だが実際に実践するのは難しいと述べています。

 普通に考えれば3番目のプロセス以外は普通のことのような気がするんですよね。例えば営業だとしたら自分が売る製品と顧客となりうる客層を調べるといった1番目のプロセスは当然やることですし、それを分析する2番目の工程も当たり前。4番、5番目も言うまでもなく当たり前の工程。この本はそれほど(当然古い本ですから)新しいことが書いてあるわけでもないんですよね。

 理論はわかってもなかなかそう言う組み合わせがわからないからマトリックス法(縦軸に関係する名詞、横軸に関係する動詞を並べてその組み合わせをすべて考えてみる方法)や(特許に関しては)TRIZといった方法が存在するわけで、今さらこの本で言われていることを言われても・・・というのが感想です。
 今までアイデアを出さなきゃ~と考えてきた私たちにとってはあまり目新しいことがない本ですが、今まで仕事などに「アイデア」を捻出しよう!と思ったことのない人は一度目を通しても良いんじゃないかなと思う本でした。





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