ブックレビュー:食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉
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今回の食い逃げされてもバイトは雇うなも、さおだけ屋はなぜ潰れないのか?と同様に、身近な事柄から会計の考え方を学ぶための本です。会計を学ぶ本ではなく、会計の考え方を学ぶ本です。食い逃げされてもバイトは雇うな、食い逃げを追うな、あの牛丼チェーンに食券がない理由など、身近なことを例題に、クイズなどを加えて解説しています。
前半は数字が持つ意味と、数字を効率的に使う使い方を説明しています。
最近「Web2.0」と言う言葉がITの場面やビジネスの場面で用いられます。著者によれば「2.0」と書くことで、Web1.0なんて時代はなかったのに、今までとは違う新しい技術であるという事実を述べるだけでなく、他社は1.0、自社は2.0と比較をできるようにする、3.0、4.0とまだまだ進化していくという、「新しい技術」と言うだけでなく、「過去から未来を包括するネーミング」であると共に、ライバルとの比較をも可能にしてしまうと言う名前なのだそうです。確かにWeb2.0という言葉を聞いたとき、「1.0ってなに?」「今までとどう違うの?」「今後も進化するの?」と思ってしまいました。このネーミングにしてやられたわけです。
当ブログでもゲド戦記の記事を書きましたが、この映画のコピーには「宮崎吾朗第1回監督作品」とあります。私を含め多くの方が「次回作に期待」と書いています。著者によると「初監督作品」ではなく「第1回監督作品」と書くことで、まだゲド戦記が公開もされていない時期から、第2回、第3回と続くことを宣伝しているらしい。私を含め多くのブロガーがまんまとその術中にはまり、次回作があることを何の疑いもなく認識していたのです。
本書には出てきませんが、第○世代携帯というのも同じような効果ですよね。携帯電話も第1世代なんてなかったのに、デジタル化された第2世代携帯が出ました。数値化されたことによって、「第3世代携帯買ったんだ~!」「え~っ、もう買ったの?俺この前機種変したけど第2世代だよ~」なんて容易に比較できるからこそ、「おいて行かれるのがイヤだ」と次世代携帯へ移行する人も多かったのではないでしょうか。
数字は単なる数値でなく、使い方によっては数値以上の表現力を持っていることを示し、その使い方について解説しています。
後半はもう少し会計チックな話になっています。私も株をやっています。正直言うとかなり負けています。各社決算報告が出される時期ですが、正直よくわからない。そんな決算の見方の基礎を解説しています。「決算書を読む」とよく言いますが、決算書は読むのではなく、探して比較をする物なのだそうです。
この本のウリは「1時間で読めて効果は一生」だそうです。1時間ちょっとで読める本です。内容は・・・。正直なところを書くと「やっちゃった?」って感じです。さおだけ屋はなぜ潰れないのか?がヒットしたので、それをだいぶ意識したんじゃないでしょうか。「なるほど~」と思うこともあるけれど、簡単に書こうとしすぎて、当たり前のことの方が圧倒的に多い。
上であげたようなアルバイトを雇わない理由、食券を使わない理由、食い逃げを追わない理由がわからない人は得る物も多いかもしれませんが、普通のビジネスマンならば営業や経理などに携わっていない人でも少し考えればわかると思います。
下巻に期待です。
ところで、本書でも書かれている「タウリン1000mgは1g」ですが、1gは1000mg、1000mgと書いた方が多い印象を与えると言うことが書かれていますが、本当は違うんですよね。有効数字が絡んでくるので。厳密に言うと1000mgは999.5mg以上1000.5mg未満を言うんですが、1gと言うと500mg以上1500mg未満なんですよね。食品表記の方法的にはどうなのかわかりませんが。
また、レモン100個分のビタミンCというのも、著者の言葉を借りて「単位交換」すると、ビタミンCは2g。ヒトが必要な20日分のビタミンC、イチゴ5粒分、15.2円分のビタミンC(出展はこちら)なんです。レモンは酸っぱいからビタミンCが多く含まれている印象を持ちますが、あの酸っぱいのはクエン酸が正体。ビタミンCはあまり含まれていません。アセロラやイチゴの方がよっぽど多いんですよね。これも有利に見せる数字の使い方ですかね。(実際は、農林水産省の「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」によるものです。メーカーがわざと少ないレモンを用いているのではありません。)
- 当ブログのさおだけ屋はなぜ潰れないのか?の記事
- 山田真哉著作の本
- 食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉
- さおだけ屋はなぜ潰れないのか?
- お買い物はポイント制度も始まったAmazon
で。
楽天ブックスもよろしく。
この記事へのコメント
PCも携帯もその他の家電も含めて今の性能で充分なのにその先を求めてしまいます。
ここにコメントするにしても未だに98使ってたりVISTA搭載の最新機だったりしても第三者が見ればかわらないのに。
「ダイハード」の新作も「4」じゃなくって「4.0」なんですよね。でも観る側の気持ちは変わるんですよね、見事に。
洋画はタイトルに「邦題」ってのがあるくらいですから。
「ロッキー」も「ファイナル」って邦題はちょっと感心しました。
で、「食い逃げされても~」が上下巻に分かれているのも著者の戦略のように思えてなりません。
このブログのブックレビューは人気がなくて寂しいです。この本はそれほどオススメという感じはしませんが、「タイムマシン」は面白かったから、ぜひ皆さんにお勧めしたい1冊だったんですけど、記事掲載から1ヶ月以上経っているけど、まだアクセスが40人くらいなんです。。。映画の記事なら1000は優に超えるのに。。。
今以上の物は不要と思っていても新しい物を買ってしまう。その気持ちをかき立てるメーカーはすごいですよね。特に地デジなんて、強制的にアナログから置き換えするほど必要とは僕個人的には思えないんですけど。(だからこそ強制する必要があったのかもしれませんが)
ダイハードも4じゃなく、4.0にした意味って何なんだろう?と不思議です。その意味がプログラムに書いてあるんじゃないか?と思って普段プログラムを買わない人も買ってしまうとか?