ブラッド・ダイヤモンド 見てきました

社会派映画なのに、異例（？）の大ヒット作、ブラッド・ダイヤモンドを見てきました。

●ストーリー（ネタバレ少しだけあり）

　1999年、内戦が続くアフリカのシエラレオネ。漁師のソロモン・バンディー（ジャイモン・フンスー）は、愛する家族と平和に暮らしていた。自慢の息子は勉強もでき、ソロモンは将来は息子を医者にすることを夢見ていた。
　ある日、息子が学校から帰る途中ソロモンと二人で歩いていると、後ろから音楽をならしながら走る車を見かけた。彼らは反政府軍RUFだ。彼らの目的はソロモンらが住む村だった。ソロモンは急いで村に戻るが、彼が見たのはRUFによって無惨にも殺される村人、女子供にも容赦ない。政府軍に投票することができないようにと生き残った者たちの腕を切り落とす。ソロモンは、妻や娘を逃がすことに成功するが、自分が捕まってしまう。
　RUFによって連れて行かれたのは、ダイヤモンドの採掘場。そこで掘り出されたダイヤは密輸業者を通して換金され、RUFの資金源となる。
　ソロモンが連れて行かれた採掘場でもRUFの厳しい監視の下、過酷な労働が強いられていた。採掘したダイヤを口に隠し、猫ばばしようとした労働者は容赦なく殺された。そんな中、ソロモンは驚くほどの大粒の、幻のピンク・ダイヤを発見する。このダイヤがあれば何でもできる。そう離ればなれになった家族を救い出すことだって可能だ。ソロモンは、家族のために危険を承知で監視の目をかいくぐり、ある場所に隠した。
　しかし、監視に見つかり、場所を問いただされるソロモン。隠し場所をしゃべっても、しゃべらなくても殺されるのは目に見えていた。そんな時、運よく政府軍の襲撃が起こった。RUFメンバーもソロモンら労働者も捕まり、収容所に投獄されてしまう。
　一方、ダイヤモンドの密輸屋・ダニー・アーチャー（レオナルド・ディカプリオ）は、RUFとも政府軍とも、そしてイギリスの大企業とも繋がっている。そんなアーチャーはある時密輸がばれ、収容所に登録されてしまう。
　しかし、コネのあるアーチャーはすぐに釈放される。しかも収容所で聞いた耳寄りな情報を手みやげに持って。その情報とはソロモンのピンク・ダイヤだ。
　アーチャーは裏から手を回してソロモンを釈放させた。しかし、アーチャーがピンク・ダイヤのありかをしゃべるはずもなかった。

　一方、行きつけのバーで、アメリカ人ジャーナリストのマディー・ボウエン（ジェニファー・コネリー）と会う。マディーの目的は、RUFの資金源となっている血塗られたダイヤモンド、ブラッド・ダイヤモンドの真相。アーチャーが密売人だと知ったマディは真相をアーチャーに問いただすが、アーチャーは口を割らない。

　３人の思惑が交差する中、アーチャーは１つの策を思いつく。マディに真相を提供する変わりに、ソロモンの家族の行方を調べさせる。そしてアーチャーはピンク・ダイヤのかわりに家族を釈放させる。こうしてたどり着いた難民キャンプにたどり着いた３人。そこにはソロモンの家族の姿があった。涙を流して再開を喜ぶソロモンらだったが、息子の姿はそこになかった。RUFにさらわれてしまったのだ。
　RUFはさらった子供を少年兵に育て上げる。そんなRUFから愛する息子を取り戻すには助けが必要だ。ソロモンは覚悟を決めてアーチャーと手を組むことにする。

●感想、思ったこと（ネタバレあり）

　ツォツィやルワンダの涙など、アフリカ映画って社会性の映画が多いですが、この作品は社会性だけでなく娯楽性も兼ね備えた作品。主役の３人の演技もすばらしく、飽きさせないストーリー展開、テンポの良さ、ただの社会派映画で終わっていないところがエドワード・ズウィック監督のすばらしさです。いくら社会派映画だったとしても、やっぱりつまらなくて見る人が少なければ、ただの教育番組になっちゃいますからね。その点、この作品は良かったと思います。

　映画は1990年が舞台ですが、1991年から革命統一戦線(RUF)は、市民に対して拷問、殺害、誘拐を含むテロキャンペーンを進めてきたそうです。映画でもちょっと出てきましたが隣国のリベリアはダイヤモンドの産出がないのにダイヤモンドを大量に輸出している国。リベリア政府はRUFのダイヤモンドを輸出させるかわりに、RUFは得た利益でリベリア政府から大量の武器を購入するという利益構造になっているそうです。シエラレオネ政府はダイヤモンド輸出のための承認を国連から得ているにもかかわらず、国内統制がとれていないためこの制度が活かされていないのが現状だそうです。
　シエラレオネでは、1991年から2002年の間に5万人以上の人びとが殺害され、200万人以上の人びとが国内避難民となるか難民となり、何千人もの人びとが手足を切断され、強姦され、拷問されました。
　この数字はまだまだ少ない方で、コンゴ、アンゴラ、シエラレオネで、紛争ダイヤモンドによって死亡したのは370万人にも及ぶようです。

　この映画を見た人のレビューを読むと、ダイヤモンドを買わないようにするとか、買うときに確認するという風に思った方も多いです。じゃあ、どうやって確認すれば良いんでしょうか?買うときに、お店の人に聞けばわかるのでしょうか?アムネスティーインターナショナル日本が行った調査によると、銀座の宝飾店でスタッフに「紛争ダイヤモンドを知っているか？」の問に、いいえと答えたのは58％。知らなかったのは僕らだけではないんですね。「紛争ダイヤモンドでないことを確認していますか?」の問いにYesと答えたのは11%なんです。お客である僕らが、紛争ダイヤモンドは買いたくないと思っても、お店の人がわかっていないんじゃ、話にならないです。

　この映画で少しでも知ってくれる人が多くなり、不当なダイヤモンドや他の製品の流通がなくなることを祈ります。アフリカ映画＝社会派映画という図式が今は成り立っているけれど、アフリカを題材にした映画でも、もっと平和な映画が作られるようになると良いなぁ。

　ちなみに、いつも当サイト＆ブログを読んでくださっている皆様の協力によるアフィリエイト収入から、制作支援を行っている国連世界食糧計画WFP、あまり良い役ではなかったけど国連難民高等弁務官事務所UNHCR、人権などについて活動をしているアムネスティーインターナショナル日本にそれぞれ3,000円ずつ寄付いたしました。皆様に改めて感謝いたします。

観て良かった度：●●●●○

• ブラッド・ダイヤモンド公式サイト
  
• ブラッド・ダイヤモンド 特別版(2枚組)DVD(2007/9/7発売予定)
  
• ブラッド・ダイヤモンド (期間限定版DVD)(2007/9/7発売予定)
  
• Blu-ray版、HD-DVD版(2007/9/7発売予定)
  
• オリジナル・サウンドトラック「ブラッド・ダイヤモンド」
  
• エドワード・ズウィック監督の作品
  
• レオナルド・ディカプリオ出演作品
  
• ジェニファー・コネリー出演作品
  
• ジャイモン・フンスー出演作品
  
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Comments

[あかん隊]

素晴らしい！　具体的に何か行動…と思っても、何も思い浮かびませんでした＞自分。活動している国際的な団体への寄付、という手があったんですね。
重いテーマも、映画としての娯楽性も含めて一般に浸透させる、この監督さんは、偉い！　キャストも良かったですね。ディカプリオも、今後が楽しみに思えました。TBありがとうございました。

[かんりにん]

あかん隊さん、いつもありがとうございます。
アフィリエイトを始めた時から、読者の方への約束としてNPOに寄付することを約束していますので・・・。最近は社会派映画を多く見ているので、収入より寄付のが多くて赤字です。(T_T)

社会派映画なんだけど、説教臭くなく、娯楽としても楽しめる作りなのは評価◎ですね！

[別冊編集人]

TB恐縮です♪

[sayaka]

トラックバックありがとうございます。

> じゃあ、どうやって確認すれば良いんでしょうか?買うときに、お店の人に聞けばわかるのでしょうか?

映画を観て「紛争ダイア」のことを知ったものの、自分の行動に当てはめて何ができるというとこまで考えられてなかったです。紛争ダイア、お店のスタッフでさえ知らないんですね。
アフィリエイト収入の寄付とか、実際行動を起こしていらっしゃるかんりにんさま、尊敬します。。
これからも、ブログチェックさせて頂きますー。

[ゆんた☆]

TBありがとうございました！
今回の映画、見てよかったと思いました！
出演者の熱演が光ってたと思います☆

昔、ジュエリー業界でバイトをしたことがあったので、
よりいろいろ思うところもあったのですが、
思うだけでなかなか行動できないんですよね。
寄付されているということ、本当に素敵ですね。

>アフリカを題材にした映画でも、もっと平和な映画が作られるようになると良いなぁ。

そうなると本当にいいですよね。

[みどり]

TBありがとうございました。
今回の映画は、私が知らないことばかりでアフリカのこと
ダイヤモンドの事などほんとにいろんな事を教えてもらえました。
映画を観て、自分も何かしなくてはと思ってもなかなか具体的な行動ができないものですがしっかり行動されてる
かんりにんさんの姿に感心しましたし、うれしくなりました。
私も見習わなくては・・・。
また訪問させていただきます。

[かんりにん]

●別冊編集人さんへ。
こちらこそコメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

●sayakaさん、コメントありがとうございます。
まあ、どのみちダイヤモンドを買うなんて、僕には縁のないことですけど(汗)
これからもよろしくです。

[かんりにん]

●ゆんた☆さん、コメントありがとうございます。
ジュエリー業界でバイトって、なかなか貴重ですね。
でもバイトだと仕入れ先を変えたりとか権限ないですからね。人よりも深く考えさせられたと言うことで、ゆんた☆さんにとっては、他の人よりも心に残る１作になられたんでしょうね。

●みどりさん、コメントありがとうございます。
平和ボケしている日本人にとっては、知らないことが多いですよね。今回のダイヤモンドのこともそうですが、ツォツィのアパルトヘイトのこと、ホテルルワンダのような民族争いなど。
重い題材を広めていくか、エンターテイメントとしてもすばらしいこの作品は本当によい作品だと思います。

[サラ]

いつもＴＢありがとうございます。
記事に感動いたしました。詳しく知る事ができて、感謝いたします。
＜アフリカを題材にした映画でも、もっと平和な映画が作られるようになると良いなぁ。＞
ワタシも全く同意見です。アフリカ出身の監督さんが作ってほしいですね。

[かんりにん]

サラさん、こんばんは。
この記事も受け売りですけどね～。(^^ゞ
サラさんのおっしゃるとおり、アフリカ出身の監督さんが暗い映画ではなく、自信を持って世界に誇れる映画が撮れるようになって欲しいです。

[hyoutan2005]

映画の記事には初めてTBさせていただきます。
実は自分からはなかなかTBしないのですが、寄付の記事を読んで感動しました。思っていてもなかなか行動に起せないものですよね。素晴らしいです。
今までディカプリオはあまりファンではなかったのですが、この映画の彼は良かったです。

[かんりにん]

hyoutan2005さん、こんにちは！
コメント＆TBありがとうございます。
社会派映画を見たときはいろいろ寄付や義援金を送ったりしているんです。当初ホームページを作ったときは重くなるという理由で広告を載せない方針だったんですけど、ADSLが普及して快適に見られる人が多くなってきたため広告を載せさせていただくようにしました。その時、収入の一部をNPOなどに寄付するという条件で載せると言うことを言っていますので・・・。
映画記事もぜひトラックバックしてくださいね。

[TATSUYA]

達也です。
ディカプリオ演じる密売人の故郷が、
今は無き国家『ローデシア』。
自分の国が地球儀から消える気持ちって、
日本人にはちょっと想像もできませんよね。
社会派にしてエンタメ要素もタップリの
ホントにいい映画でした。

[かんりにん]

TATSUYAさん、こんばんは。
アーチャーの故郷まではノーチェックでした。さすがTATSUYAさんです。確かに自分の国がなくなる気持ちは想像もつかないですよね、日本人にとっては。

[マキサ]

こんばんは。やっと私もこの映画見てきました！
ほんと、単なる社会派ドラマというのではなく、娯楽作品、アクション大作として楽しむことが出来ますよね！！悲惨な内容なのに、見終わった後の気持ちの良いこと！そのスカッとしたようなすがすがしさが得られることも、意外でした☆

[かんりにん]

マキサさん、コメントありがとうございます。
どんなメッセージが込められた作品でも見てもらわなければメッセージは伝わりません。この映画は説教臭い社会派映画ではなく、マキサさんもおっしゃるとおりエンターテイメントとしても楽しめる映画でしたので、そう言う意味でもすばらしい作品でした。良い意味で期待を裏切ってくれた作品ですよね。