ブックレビュー:宇宙エレベーター
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実は、この本を読むきっかけとなったのは「宇宙エレベーター」という単語。実は小学校の時に僕も同じようなことを考えていたんです。どんなこと考えていたんだろうと思い起こすと、たしか嫌いな社会の授業中に考えていた記憶があります。倉庫に入って小学校の時のノートを探し出しました。もうボロボロです。パラパラとページをめくっていると、破れてくるほど。僕も年をとるはずだ・・・と思いながら探しているとありました!
その頃考えた宇宙エレベーターはこんなもの。将来宇宙ステーションができてもロケットで行くのは大変。エレベーターで行けたらいいなぁー。でも、宇宙までの高さの建物なんて造れない。重さに耐えかねて崩れちゃう。じゃあ、上から引っ張ろう。静止軌道は36,000km上空だから、それ以上上のところに宇宙ステーションを作れば、地球の重力よりも遠心力が大きくなって、エレベーター(建物)を上から引っ張ってくれるから、建物の下の方にも自重がかからない。
で、エレベーターを上に上げるためには電力が必要だけど、エレベーターの箱につけるケーブルをモーターで引っ張るのではなく、箱からケーブルでおもりをつけておき、宇宙ステーションからさらに上におもりを投げれば遠心力で勝手にエレベーターを上に上げてくれるはず。
でも、そんなに長いケーブルを作っても切れちゃう。
と言うようなことが書いてありました。(あまりにも絵と字が汚いので掲載しませんが)
これってすごくない?我ながらですが。小学生でこんなこと考えていたんですよ。
さらに数ページ先には、乗り物の絵が描いてありました。たぶんJAL123便が墜落したあとに考えたことです。
飛行機は空を飛ぶから危ない。飛行機はなんで空高く飛ぶの?→空気抵抗を減らすため?!
地下に穴を掘って、そこを真空にして、その中をリニアモーターカーで走らせると速くならない?
なんていうことが書いてありました。実はこれ、先日テレビで某大学の教授が考えていたのとほとんど同じ内容。実際は東京から大阪までトンネルを掘って、真空にするとその維持費だけですごいことになって実用的でないと言うことを言っていました。そしてもう1つ。加速はできるけど止まるのに時間とエネルギーがかかるそうです。そこで止まるときは常圧にして空気抵抗で止まろうとしたらしいのですが、実験機の乗客(カエル)が降りるときは空気との摩擦熱で黒こげになってしまったそうです。
さらに自由帳には、小学校の時の友達と、大きくなったらタイムマシンを作ろうぜ!なんてことも書いてありました。
話を戻しまして、本の話をしますと、この本は、宇宙エレベーターについて技術的なことを書いた本ではありません。著者アニリール・セルカンの事件を起こして高校を中退したところから、科学者あるいはトルコ人初の宇宙飛行士となった、それまでの半世紀を描いた作品です。
15歳の時、ぼやを起こして高校を中退となった。その時のメンバー13人。彼らは学校に行く出もなく、時間をもてあましていた。彼らはタイムマシンを作ろう!と言う志のもとサッカー場にタイムマシンを作った。車の廃棄場などから部品を集めて、サッカー場に33kmのワイヤーを巻き付け、電子加速器を作った。実験の当日、サッカー場には600人の人が集まり、その中には報道陣の姿もあった。
しかし結果は失敗。フィンランドから来た友達の父親は、「タイムマシンを作るとき、過去に習った授業を思い出し、未来に向かって何をしなければ行けないかを考え、今を精一杯努力した結果だ。タイムマシンはできていたんだよ」と言われ、その言葉は著者の心に永遠に刻まれることとなった。
11次元宇宙など、ちょっと難しい内容もありますが、もともと科学の専門書ではない本書は大人が読んでも面白いし、学生が読んでも面白いと思います。もちろん理系の人も、文系の人も。今のところ予定はないのですが、もし自分に子供ができたら、絶対に読ませたい本だと思います。
で、ここで思うのが、少なくとも小さいときは、僕と著者のアニリール・セルカンには共通点があったと思うんですね。僕も小学生の頃は我ながら小学生の癖していろんなことを考えていたんだなぁ~と思うし。(アニリール・セルカンさんがこれを読んでいたら非常に僭越(せんえつ)だと恐縮ですが)。どこで僕とアニリール・セルカンさんと違ってきたんだろう。一つは簡単です。行動力です。宇宙エレベーターにしても、真空のリニアモーターカーにしても僕は考えてノートに書くのが精一杯。実験なんてとても、とても。
もう1つは、高校は勉強もがんばっていたけど、大学に入ると、一つのゴールを向かえた感じになってしまって、知的好奇心が減ってしまったことかな。たぶん開けてはいけないと言われるパンドラの箱、小学生の僕ならたぶん開けると思います。でも今は「開けてはいけない」と言われたら、開けないかもしれません。知的探求心が明らかに減っていると思います。
自分の問題が95%ですが、日本の教育にも5%くらいは責任はあるんじゃないかと思います。本書を読んでもう一度子供の頃の探求心を取り戻して、今の仕事にも活かせればなぁと思います。
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この記事へのコメント
子供頃って、「こんなのがあったらなぁ~。」ってのをしがらみなしで想像できるじゃないですか。アイデアが浮かぶことがすごいんじゃなくて、考えたことを大人になるまで覚えていただけのことだと思いますよ。
ドラえもんの秘密道具じゃないですが、そんなのを想像していただけですから。