理化学研究所 横浜研究所 一般公開見てきました。




横浜研究所西NMR棟
 2006/06/24(土)に、独立行政法人理化学研究所横浜研究所一般公開がありましたので、見に行ってきました。

 ここのブログではいつもは映画やダイビング、その他の書いていますが、今回はちょっと専門的です。ご了承ください。

 独立行政法人理化学研究所とは、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めている研究機関です。特に横浜研究所ではゲノム科学総合研究センター(743人)、植物科学研究センター(155人)、遺伝子多型研究センター(157人)、免疫・アレルギー科学総合研究センター(337人)、感染症研究ネットワーク支援センター(13人)の5つからなる研究所で、同じ敷地に横浜市立大学鶴見キャンバスもあり、共同研究も行っています。



 当日は鶴見駅から無料のシャトルバスが定期的に出ています。始発(9:45)のバスは満員で乗れない人もいるくらいの盛況ぶりです。高校生から大人まで幅広い年齢層の方々が見学に向かいます。

 実は、デジカメを持って行ったのですが、開けてびっくり、メモリーカードが入っていない。と言うわけで携帯内蔵のカメラで撮ったので画像が汚いです。ごめんなさい。m(_ _)m

 さて、鶴見駅からバスで約15分。研究所について交流棟で受付をします。8つの棟から構成されており、一番古い西研究棟でも2000年竣工という新しい研究所です。設備も当然お金持っている研究所ですので、最新鋭のものが勢揃い。技術者としては胸が高鳴ります。




2003年4月14日、生命科学のアポロ計画とも言われたヒトゲノム解読が完了しました。その完了報告のCD-ROMです。

DNAブック。通常DNAは壊れやすいので冷凍庫に保管します。DNAブックとは特殊な紙にDNAをしみこませた物で、これですと室温でも長期間保管ができるという優れものです。

植物科学研究センターの研究紹介。植物のホルモン、植物の形を決める物質、植物の毛の働きなどについて紹介していました。

最後には花の苗を配っていました。また、遺伝子組み換え植物にについてのアンケートをしていました。
「遺伝子組み換えを知っているか?」については研究者のほとんどは知っている。一般の方は少し知っているが多く、知っている人、知らない人も多くいらっしゃいます。
「何で知ったか?」については研究者のほとんどは専門書、授業と答えたのに対して、一般の方はテレビ、新聞、インターネットがダントツです。
「10年後日本において遺伝子組み換え作物をほとんど輸入しないですむか?」の質問に対して一般の方も技術者も輸入せざるを得ないと答えています。
「遺伝子組み換え作物の日本の評価基準は信用できるか?」は一般の方も技術者も完全には信用しない多いようです。
「遺伝子組み換え作物をあなたは抵抗泣く食べられるか?」は一般の方はできない種類もあるが多く、ついでできない、信用できるが多く、研究者はできないはほとんどいませんでした。1問目の質問と一緒に考えると、遺伝子組み換えを知っている人ほど抵抗なく食べられると言うことになります。
「10年後日本の食事に遺伝子組み換え作物がどのくらい入ってきているか」に対して、技術者は多少増えているが多く、ついでほとんど利用されない。一般の方は多少増えているが多く、ついで広く利用されていると答えています。
技術者は遺伝子組み換え作物を自分では食べるけど、その導入には消極的な人が多いと言うことでしょうか。一般の方は遺伝子組み換え作物は食べたくないけど将来的には食べざるを得ないと思っていると言うことでしょうか。
ちなみに、遺伝子が組み変わっても遺伝子自体は毒になりません。毒を作る遺伝子を入れた場合に毒が作られて食べた場合も毒になります。例えば害虫が嫌う物質を作る遺伝子を組み込んだ場合に、その物質を人間が継続的に摂取した場合に毒になる可能性があるかもしれないと言うことです。しかし通常は「物質」とはワザビの成分など、古くから食べられているものを使っているので毒性に関してそれほど心配する物ではないと思います。(ちゃんとどのような遺伝子を組み込んだか管理していればね。)怖いのはどんな遺伝子を組み込んだかわからないものが出回ることと、遺伝子組み換え作物の遺伝子が自然界に混ざってしまった場合です。つまり人間の管理外に行ってしまった場合です。その辺の管理をどうするかの対策ができないとちょっと怖いですね。
そもそも交配して良い品種を作り出してきたというのもある種の遺伝子組み換えですからね~。

NMR装置。電子の状態から有機化合物の構造を分析するための装置。1台数千万円です。これが40台あるそうです。すげー!
ちなみに写真に写っている(奥の樽みたいなのがNMR)のは700MHzというスペック。CPUと同じでクロック数が高いほど分解能が高くなります。

こちらは横浜市立大にある900MHzのNMR。僕の知る限り、世界で一番分解能が良いスペックです。

超貴重な写真です。NMRの中身。一番奥の下側のベージュの部分がコイルになっていて、ここを冷やして超伝導にすることで小さい電力ですごい地場を発生させます。このクラスならともかく、上の700MHzのNMRにハンマーを近づけると磁石の影響でくっつきます。たぶん大人数人がかりでもとれないくらいの強地場がかかります。クレジットカードを持ち込んだら一発で消えますね。
で、超伝導を起こすためにこのコイルの部分は液体ヘリウム漬けになっています。液体ヘリウムは高いので液体ヘリウムが暖まらないように、その周りを安い液体窒素で満たします。

ちょっとわかりづらいですが、超伝導の実験をしています。真ん中の瓶には液体窒素(-196℃)が入っています。豆電球に乾電池をつなげて光らせるのですが、コードが長いと電気抵抗が高くなって豆電球は光りません。この長いコードを液体窒素に漬けると、超伝導とまでは行きませんが、電気抵抗が低くなって豆電球が光るのです。
電気が流れるとは実際には電子が流れるのですが、この電子が銅線の銅原子にぶつかって流れるのが邪魔されるのです。温度が低くなると銅原子は動かなくなって、電子の動きを邪魔しなくなるんです。だから電気抵抗が低くなるんです。

横浜市立大学の方では硼砂でスライムを作っていました。作り方はこちら。やっぱり大学の方は発表内容も難しいですね。往々にして大学教授や大学院生というのは、自分の研究内容をわかりやすく説明をするというのが下手な人が多いと思います。学会発表とかに慣れてしまっているせいなのか、聞き手のことを考えないで自分勝手な発表をする人が多いんですよね。社会人1年生のプレゼンの時に学ぶことなんですけどね。

科学戦隊「実験ジャー」です。劇団員によって、おもしろおかしく化学実験ショーを披露しています。子ども達にかなり受けてました。

世界最速1テラフロップスの分子動力学シミュレーター。予算10億円のスーパーコンピューターです。分子動力学シミュレーター専用に設計しているので、10億円という低予算で世界最速が実現できました。
いろいろあって、予算が削減されたり、このプロジェクト存続の危機もあったそうです。

このスパコンでウイルスを計算しているところ。今までのように分子を計算するだけでなく、遺伝子、種々のタンパク質からなるウイルスを普通に計算することも可能という優れものです。

遺伝子増幅装置の山。うちの会社にも何台かありますが、ここまでたくさんあると爽快です。

SNP(遺伝子多型)タイピング施設。例えばよく出される例として、お酒に強いか弱いかの遺伝子の違いは、ヒトの約30億というDNA配列のたった1つの違いなんです。このようにヒトの個性を決める部分をSNPと言います。このようなSNPはヒトで約1,000万あると言われています。お酒が飲めるかどうかなんて正直取るに足らないことなんです。この1,000万の中には、例えばある抗ガン剤に敏感に働いて副作用がたくさん出てしまうSNP、出ないSNPなんてのもあります。あるいはたばこを吸うと肺ガンになりやすいSNPなんてのもあります。運動しても脂肪が減りにくいSNPなんてのも。。。ですからこのSNPを調べるというのは、病気の予防あるいは薬の選定の手助けなんかに役立つわけです。このSNPを調べる施設です。

今回一般公開していませんでしたが、アフィメトリクスのDNAチップの装置です。無理言って見させてもらいました。DNAチップの説明はこちら(キヤノンのサイト)を参照してください。

同じくアフィメトリクスのDNAチップの装置です。


 研究紹介の他にも講演会もやっていました。3つあり、
・ゲノムで変わる病気へのアプローチ
・インターネットでわかるゲノム・タンパク質
・からだを守るミクロの決死隊
です。

 1つのめの「ゲノムで変わる病気へのアプローチ」を聞きましたが、前半は一般向けにわかりやすく、後半はちょっと最先端の難しい話をしていました。上のSNPの話で、SNP(遺伝子多型)を研究することで、病気の予防、効果が高く副作用の少ない薬の選択ができるようになる(テーラーメード医療)についての話などをメインに話されていました。

 また、最近新聞に「○○病の遺伝子発見」とか「△△する人は、しない人に比べて××になる確率が3倍!」と言った新聞記事を見かけるがその大半がみんなが思っているほどの物でなはいという話をされていました。例えば、前者では複数の原因で○○病になるのにその1つが見つかっても診断などに応用できない。肥満遺伝子発見!という記事が載ると、肥満遺伝子 検査キットのような物もできるが、論文をよく読むと、サンプル数が少なかったり、きちんと検証できていない(信頼性のある場合は、別の研究者が追試をやって発表をするが、それがない)、また欧米人だけしか検証されておらず、日本人が同じメカニズムで肥満になるかは統計がないなど。。。研究者が見ると信頼性がなくてもマスコミは大々的に取り上げることがあるので注意が必要とのこと。
 後者の例としては、△△(例えば喫煙)しない人が1,000人中10人××病になりました。しかし△△する人が××病に30人なりました。1,000人中発病数が10人も30人も生活環境がみな同じでないので誤差の確率も高く信憑性の低い数値ですが、マスコミが取り上げると、3倍!と大々的に発表されます。

 話は変わりますが、劣性遺伝病の数は700種類と言われています。これは日本人100人に1人が1つの劣性遺伝病にかかるとすると、日本人1人に7つの病気になる可能性の高い遺伝子を持っていることになります。「自分は健康だよ」と思っていても7つの病気になる可能性の高い遺伝子を持っているのです。このことをきちんと理解して、病気になりやすい遺伝子を持っているからと差別するのではなく、個性であると理解して上手につきあっていける世の中を作らなければならないと話していました。


 初めて理研の研究所を見学させてもらいましたが、金持っていていいなぁというのが正直な感想。
 バイオの分野、特に遺伝子の分野はアメリカが進んでいますが、日本も負けじと技術を磨かないと、21世紀に開発される薬の特許料としてアメリカにどんどんお金を払わなければならなくなります。日本も追いつけ追い越せしないとだめですねー。










この記事へのコメント

K(妻)
2006年06月26日 08:35
エステ行ったり、見学ツアー行ったり、意外に行動的なんですね(笑)。私は自称ヒッキーなので、ダイビングと映画以外ほとんど出かけません。

本当に今透明度最悪なんですよ。
でも透明度が悪いと、魚も人間の存在に気づかないから、昨日みたいにアカエイがダンナに向かって泳いできたりするし、マンボウに会える確立も上がるので、悪いことばかりじゃないみたいです。
エンリッチは、私もやってみたいなー。
来週までに透明度も水温も上がるといいですね。
2006年06月26日 21:57
こんばんは&はじめまして。
ダイビングで検索してここにたどりつきました。
まだまだダイビングもPCもデジカメも初心者なので
いろいろと参考にさせてください。
2006年06月26日 23:09
●K(妻)さん、こんばんは。
実はですね、ドライスーツに穴が開いて修理したので、その確認で潜りに行くんです。ドライスーツで潜るので水温が上がってしまうとゆだってしまう。透明度が良くなって、水温はそれほど上がらないコンディションに期待です。

●7beさん、こんばんは。
宮古島なんですか?!行きたくて行きたくてしょうがないんですが、つきあってくれる人がいなくて、未だに行けません。
7beさんのブログにも遊びに行きますね~。
2006年06月26日 23:43
よしなしごとさん、こんばんわ。
面白そうなところに行ってきたんですね、すごくマニアックですけど。
お金無さそうって。。。バイオテクノロジー分野こそ
日本が頑張れそうなのにお金かねないって微妙ですね、
日本はお金の使い方を少々誤っているとは思いますけど。
2006年06月27日 01:02
ここ,うちの兄が生前勤めてたことがあるんですよ。
こんな風になってたんですね。
2006年06月27日 01:32
●聖さん、こんばんは。
やっぱバイオ系ってお金掛かるんですよ。アメリカの大手製薬会社のように湯水のようにお金を使えるところが買ってしまうんですよねー。日本もがんばらねば。

●ひろさん、こんばんは。
お兄さん、バイオ系だったっておっしゃってましたもんね。こういう研究所は普段は機密で、一般の人はなかなか入れないですからねー。マニアックですが貴重な1日でした。

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